改訂新版 世界大百科事典 「カゴノキ」の意味・わかりやすい解説
カゴノキ
Actinodaphne lancifolia(Sieb.et Zucc.)Meissn.
高さ10~15m,直径30~40cmほどのクスノキ科の常緑中高木で,大きいものは高さ20m,直径1m以上になることがある。樹皮が円い薄片状にはげ落ち,古い黒褐色の部分と新しい淡黄白色の部分が鹿の子まだらをなすので〈鹿子の木〉の和名がある。葉は互生し,葉身は長さ5~10cmの長楕円形で,全縁,裏面は灰白色を帯びる。雌雄異株。花は黄色の小花で,8,9月ころ葉腋(ようえき)に数個が密生して咲く。果実は直径約7mmの倒卵形の液果で,翌年の7,8月に紅色に熟し,1個の種子を含む。関東地方以西,四国,九州,沖縄,済州島,台湾,中国の暖帯に分布する。木材はくすんだ褐色~暗褐色を示し,光沢がある。気乾比重約0.70,やや重硬でやや緻密な散孔材。地域的に建築,器具,小細工などに用いられる。
カゴノキ属は約70種がインドからマレーシア,東アジアに分布し,高木になる種は木材に利用される。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報