カゴノキ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カゴノキ」の意味・わかりやすい解説

カゴノキ(鹿子の木)
カゴノキ
Actinodaphne lancifolia

クスノキ科の常緑高木。別名コガノキ,カゴガシ,カノコガ。関東以西,台湾,朝鮮半島南部の暖地に生え,高さ 15mに達する。幹は平滑,淡紫黒色であるが,樹皮円形薄片となって点々と脱落し,あとに鹿の子模様を残すためこの名がある。葉は有柄で互生し,革質,長楕円形で先がとがり,表面は暗緑色でなめらか,裏面はやや灰白色で細毛を密生する。夏,葉腋に密な散形花序をつけ,花序外部には鱗片がある。雌雄異株。総包片は黄色で花弁状,花被は6裂する。雄花にはおしべが9本あり, (やく) は4室で内側に向く。果実は球形液果で,翌年の夏に赤く熟する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カゴノキ」の意味・わかりやすい解説

カゴノキ
かごのき / 鹿子木
[学] Litsea coreana H.Lév
Litsea lancifolia (Sieb. et Zucc.) F.Vill.

クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の常緑高木。高さ15メートルに達する。樹皮は灰黒色であるが、円形の薄片のはげ落ちた跡が黄白色の斑紋(はんもん)となり、鹿の子(かのこ)模様の斑(まだら)となるのでこの名がある。葉は互生して枝先に集まり、倒卵状披針(ひしん)形、長さ5~10センチメートル、薄い革質で全縁。雌雄異株。花は8~9月、葉腋(ようえき)から出た散形花序につき、無柄、黄緑色。雄花序、雌花序はともに4枚の総包葉片がある。果実は液果で、翌年の7~8月に紅色に熟し、花被(かひ)の筒状部が基部に残る。茨城・福井県以西の本州、四国、九州、沖縄および朝鮮半島南部、台湾に分布する。材は器具、建築用とするが、特殊な用途としては鼓の胴として用いる。バリバリノキ属Actinodaphneにふくめられることもある。

[門田裕一 2018年8月21日]

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