カジイチゴ(読み)かじいちご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カジイチゴ」の意味・わかりやすい解説

カジイチゴ
かじいちご / 構苺
[学] Rubus trifidus Thunb.

バラ科(APG分類:バラ科)の半常緑低木。高さ1~2.5メートル、茎はやや太く、毛はあるが刺(とげ)はない。葉は掌状の大形の単葉で30センチメートル近くになるものもあり、5~7裂に切れ込む。4~5月新枝の先に径4~5センチメートルの白色の5弁花を数個開く。集合果はやや球状、赤みがかった黄色に熟し、甘酸っぱい。地下茎で盛んに繁殖する。早春のころ、新枝をキイチゴと称し、いけ花にする。名はカジノキの葉に似ることによる。本州四国、九州の暖地海岸地方に分布し、よく人家にも植栽される。他のキイチゴ属植物と雑種をつくりやすい。やや葉が小さいヒメカジイチゴは本種とニガイチゴとの雑種で、通常は果実をつけない。

[鳴橋直弘 2019年12月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カジイチゴ」の意味・わかりやすい解説

カジイチゴ(梶苺)
カジイチゴ
Rubus trifidus

バラ科の落葉性の低木ないし小高木。関東地方以南の暖地の海岸に生じる。日本産のいわゆるキイチゴ類の代表的な種であり,人家にもしばしば栽植される。高さ2~3mで根もとから叢生し,枝は緑色でこの属 (キイチゴ属) には珍しくとげをもたない。葉は長い柄があって互生し,直径 10~20cmの円形で掌状に5~7片に裂ける。葉面は濃い緑色で光沢がある。春に白色5弁の径3~4cmの花をつけて美しい。おしべ,めしべともに多数あり,花後はこの多数のめしべが寄集った球形の集合果をつくる。熟すると橙黄色で汁液に富み食用となる。

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