カズノコグサ(その他表記)Beckmannia syzigachne(Steud.)Fernald

改訂新版 世界大百科事典 「カズノコグサ」の意味・わかりやすい解説

カズノコグサ
Beckmannia syzigachne(Steud.)Fernald

水田等に生える越年生のイネ科雑草。全体にやや淡い鮮緑色でやや軟らかい。茎は株となりやや太目で,高さ30~90cm,中空で数節がある。葉は幅広い線形で,長さは20cmに達し,幅は5cm内外である。5月ころ茎の頂に細長く鮮緑色の円錐花序を出し,長さは10~20cmほどで,その短く立った側枝の片側小穂を密生する。小穂は横に長目の円形で,長さは2mmくらい,左右に扁平となって積み重なった状態で穂となるので,穂が横から見るとかずのこの印象を与える。穎(えい)は左右から扁平となって,背部がはみ出した袋状で,1~3個の小花を挟むように包む。温帯分布し,日本の北海道から九州中国の中部・北部,朝鮮半島,沿海州に見られる。種子食用とされたことがある。また雑草ではあるが,多少耐塩性のあるところから海岸の湿地または内陸の塩湖等で牧草として利用可能である。以前にはこの草をミノゴメと呼んでいたが,本当のミノゴメはムツオレグサのことであるから,牧野富太郎が本種にカズノコグサの名をつけた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カズノコグサ」の意味・わかりやすい解説

カズノコグサ
かずのこぐさ / 数子草
[学] Beckmannia syzigachne (Steud.) Fern.
Beckmannia syzigachne (Steud.) Fern. subsp. baicalensis (Kusn.) T.Koyama et Kawano

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草または越年草。別名ミノゴメ。稈(かん)は軟弱、株立ちとなって直立し、高さ30~90センチメートル。6~7月、太い直立した複穂状花序を出し、片側に小穂を密生し、あたかも数の子のようにみえる。小穂は長さ3~3.5ミリメートル、ほぼ円形で扁平(へんぺい)。水田跡地、水湿地に多くみられ、北海道から九州、および中国、シベリア北アメリカに分布する。

[許 建 昌 2019年8月20日]

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百科事典マイペディア 「カズノコグサ」の意味・わかりやすい解説

カズノコグサ

イネ科の一〜二年草。ほぼ日本全土に見られ,湿地,とくに田や畔(あぜ)にはえる。北東アジア,北米にも分布。高さ35〜50cmになり,茎や葉は無毛で柔らかい。春,狭い円錐状の花穂がつき,その中軸から出た短い枝に幅広い小穂が数の子のように重なってつく。小穂は扁平で,袋のような2枚の包穎(ほうえい)がある。

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