不快臭や刺激性のある医薬品、味の悪い医薬品、色素類で他を汚染するような医薬品を服用しやすくするために用いられる剤形の一種。抗生物質や消化酵素製剤をはじめ、チモール、サリチル酸ナトリウム、肝油などの医薬品を、粉末状、顆粒(かりゅう)状、液状、懸濁状、糊(のり)状などの形でカプセルに充填(じゅうてん)するか、カプセル基剤で被包成型してつくったもので、硬カプセル剤と軟カプセル剤の2種がある。硬カプセル剤はゼラチン製で、一端を閉じたボディとキャップからなる一対の円筒体の中に医薬品を充填し、互いに重ね合わせたものである。大きい順に000、00、0、1、2、3、4、5の各号、8種がある。軟カプセル剤は、ゼラチンにグリセリンやソルビトール(糖アルコールの一種)などの可塑剤を加えて軟質化したゼラチン基剤を特殊な機械で板状に伸ばし、2枚の間に医薬品を挿入して両側から被包成型(球形、楕円(だえん)形、卵形など)したもので、製法に平板式とローラー式の2種類がある。
カプセル剤は胃内でカプセルが溶けて崩壊するが、老人など唾液(だえき)や胃液の分泌が少ない場合は軟化するだけで崩壊しないこともあるので、多量の水またはぬるま湯とともに服用する必要がある。なかにはカプセルの皮膜にコーティングして胃を通過させ、腸内で崩壊するようにした腸溶性カプセル剤、あるいは顆粒にコーティングして厚さを適当に変え、崩壊性の異なるものを配合した持効性カプセル剤もある。また、数マイクロメートルから数百マイクロメートルという微球形のマイクロカプセル(アスピリンのマイクロカプセル製剤)やレクタルカプセルといって坐薬(ざやく)として用いられる先のとがった円錐(えんすい)状に近い形の軟カプセル製剤も開発されている。
[幸保文治]
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[製剤の種類]
剤形は《第十改正日本薬局方》の製剤総則に26種記載されているが,局方外にも数種の剤形がある。 内服する,つまり経口投与される製剤は,エキス剤,エリキシル剤,カプセル剤,顆粒剤,丸剤,懸濁剤,細粒剤,散剤,酒精剤,錠剤,シロップ剤,浸剤・煎剤,チンキ剤,芳香水剤,リモナーデ剤,流エキス剤である。よく用いられる錠剤,カプセル剤を例にとると,服用後,消化管内において崩壊→分散→溶出のプロセスを経て,消化管粘膜で吸収される。…
※「カプセル剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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