セネガ(読み)せねが(英語表記)Seneca snake root

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セネガ」の意味・わかりやすい解説

セネガ
せねが
Seneca snake root
[学] Polygala senega L.

ヒメハギ科(APG分類:ヒメハギ科)の多年草。北アメリカの中央部(南はミズーリ州から北はカナダのマニトバ州まで)に分布する。地表から茎を数個出し、高さ15~30センチメートルとなる茎からは葉柄のない葉が互生する。葉は披針(ひしん)形で先がとがる。6月ころ白色の小さい花が茎の先に密につき、穂状花序をつくる。花は蝶(ちょう)形で、萼片(がくへん)5個、花弁3個からなり、2個の側弁は長楕円(ちょうだえん)形で白色、下弁は淡緑色で先端が房状に分かれる。雄しべは8本で花糸は合生している。北アメリカ南部(バージニア州からテキサス州まで)に分布するものは葉がやや広く、卵状披針形となり、細根を多数生ずるので変種とされ、ヒロハセネガP. senega var. latifolia Torr. et Grayという。この種は、日本では兵庫県、高知県などで栽培されている。セネガの名は、北アメリカ先住民のセネカ人がこの植物を毒蛇の咬傷(こうしょう)の治療に用いていたことによる。現在はこの根を去痰(きょたん)剤として気管支炎気管支喘息(ぜんそく)の治療に用いている。薬理的な作用は、根に含まれているセネギンというサポニン(6~10%)とサリチル酸メチルエステルの共力作用によるといわれている。

[長沢元夫 2019年11月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セネガ」の意味・わかりやすい解説

セネガ
Polygala senega; senega

ヒメハギ科の多年草で,北アメリカ原産。太い屈曲した根から数本の茎が集まって生じ,茎は高さ約 30cmあって,広披針形の葉を互生する。6月頃,茎頂に緑白色の小さい蝶形花を穂状に集めてつける。花の形はヒメハギ (姫萩)に似ている。果実はやや平らな 蒴果宿存萼にはさまれ,種子は長卵形で黒く熟する。本種および変種のヒロハセネガ P. senega var. latifoliaの根を乾かしたものが生薬のセネガで,成分はセネギン,ポリガラ酸などを含み,去痰薬として効果がある。アメリカインディアンのセネガ族は古くから毒ヘビによる傷に用いたといわれる。

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