日本大百科全書(ニッポニカ) 「カナーン」の意味・わかりやすい解説
カナーン
かなーん
Canaan
パレスチナ地方の古名。聖書では場合によってヨルダン川西側の地一帯を、場合によって東地中海沿岸の地をさしている。その名は、この地方の特産である紫染料を表す語と深い関係があるとされている。『旧約聖書』によれば、カナーン人の祖は、ノアの孫、ハムの子カナーンであるが、実際に紀元前四千年紀からこの地の主流となったのはセム人であり、ウガリト、アララク、アッコなどの諸都市国家が形成された。エジプトおよびメソポタミアの影響を受けて前二千年紀なかばにカナーン文化は最盛期を迎えたが、前13世紀以後、「乳と蜜(みつ)の流れる地」とよばれたこの地を求めて侵入したイスラエル人に引き継がれ、聖書の舞台となった。
[漆原隆一]
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