改訂新版 世界大百科事典 「カミキリモドキ」の意味・わかりやすい解説
カミキリモドキ
false-blister beetle
甲虫目カミキリモドキ科Oedemeridaeに属する昆虫の総称。世界から約800種,日本からは40種余りが知られている。形がカミキリムシに似るところからカミキリモドキと呼ばれるが,ヒラタムシ上科の異節群に属し,カミキリムシとは系統的に異なる。体は一般に細長く,触角も細長く,カミキリムシよりも軟弱で,前・中脚の跗節(ふせつ)は5節,後脚の跗節は4節からなる。成虫は昼間活動性のものと夜間活動性のものがあり,モモブトカミキリモドキOedemeronia lucidicollisなどは日中盛んに活動し,花に集まり花粉,花みつを食べる。アオカミキリモドキXanthochroa waterhouseiなどは日没ごろより活動し,灯火にも飛来する。この科にはカンタリジンcantharidineと呼ばれる毒液を出すものが少なくない。この液は皮膚につくと水疱性皮膚炎を起こすことがあり,英名もこれに由来している。この科の幼虫は草の茎や朽木の中に生息し,それらを食べる。体は白色で細長く,胸脚のほかに腹部の数節が腹脚のように突出する種が少なくない。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報