日本大百科全書(ニッポニカ) 「カヤネズミ」の意味・わかりやすい解説
カヤネズミ
かやねずみ / 萱鼠
harvest mouse
[学] Micromys minutus
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ科の動物。1属1種で、ヨーロッパ、シベリア、朝鮮半島、中国南部、アッサム、台湾、日本など分布が広い。日本では関東以西の本州、四国、九州、対馬(つしま)、隠岐(おき)諸島、淡路島にみられる。頭胴長約60ミリメートル、尾長約60ミリメートル。体重は8~10グラムでもっとも小形のネズミである。沼沢地、河床の草原、堤防、水田など草丈の高いイネ科草本の繁茂する所にすんでいる。尾を巻き付けて、巧みに草に登り、初夏から秋にかけてススキの茎などに、葉や穂綿を利用して球形の巣をつくる。巣の直径は8~10センチメートル。冬は地中のトンネル内にすむ。草の種子のほか、イナゴ、バッタなどの小動物も食べる。出産期は地方によって異なるが、3月から12月に及ぶ。妊娠期間は21日ぐらいである。1産2~8子で、球巣の中で子を育てる。北アメリカに分布するアメリカカヤネズミ属Reithrodontomysはキヌゲネズミ科に属し、カヤネズミとの類縁はないが、生活様式に類似がみられる。
[宮尾嶽雄]