ガウスの定理(読み)がうすのていり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガウスの定理」の意味・わかりやすい解説

ガウスの定理
がうすのていり

一般にベクトルvの場で、一閉曲面Sに囲まれた空間Rを考えたとき、この曲面上で外向き法線上の単位ベクトルnとし、直交座標系の基本ベクトルをijkとすれば、(vn)の面積積分

の空間全体に対する体積積分に等しいという定理。つまり

この定理は電磁気学では、電気に関するガウスの定理としてとくに重要である。つまり、真空中の静磁場内で任意に閉曲面を考えるとき、この閉曲面を貫く全電場束は、その面内にある全電荷の代数和の4π倍に等しいことが導かれる。電場ベクトルをEとすれば、

ここで右辺の積分は、閉曲面Sによって囲まれた体積V内の全電気量を意味する。またこの定理の微分形として
  div E=4πρ
がある。同様に磁気に対するガウスの定理は
  div H=4πρm
となる。なおここでρおよびρmはそれぞれ電荷および磁化密度である。

[安岡弘志]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガウスの定理」の意味・わかりやすい解説

ガウスの定理
ガウスのていり
Gauss' theorem

ガウスの発散定理または単に発散定理ともいう。ベクトル解析における定理。いくつかの閉曲面で囲まれた有界な領域V とするとき,ベクトル場 FV およびその境界面 S 上で連続な偏微分係数をもてば,ベクトル場 F の発散 divFV における体積分は,境界面 S の法線方向への F成分面積分に等しい。すなわち
である。ここで n は,S の単位法線ベクトルであり,S内部から外部に向うものとする。

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