ガスプロム(読み)がすぷろむ(英語表記)Газпром/Gazprom

デジタル大辞泉 「ガスプロム」の意味・読み・例文・類語

ガスプロム(Gazprom)

ロシア本社を置く世界最大の天然ガス会社。ロシア政府が筆頭株主で、ロシア大統領メドベージェフが就任前まで会長を務めるなど、半国営的企業。ロシアの天然ガス生産量の約85パーセントを占め、同国GDPの10パーセントに相当する収益を上げている。→サハリンツー

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共同通信ニュース用語解説 「ガスプロム」の解説

ガスプロム

天然ガスを採掘から供給まで行うロシア政府系企業で、世界最大級の天然ガス会社。2020年には全世界の天然ガス埋蔵量の16%を所有し、生産量は世界の11%に上った。ガスを各地に輸送するパイプライン17万6千キロを所有。ロシア極東から西欧まで敷設され、欧州には供給網が張り巡らされている。日本にも極東サハリンから液化天然ガス(LNG)を供給している。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガスプロム」の意味・わかりやすい解説

ガスプロム
がすぷろむ
Газпром/Gazprom

ロシアにある世界最大のガス会社。本社はモスクワ。ロシア政府が50%強の株式をもつ半官半民の企業で、ロシアの国内総生産(GDP)の1割前後を稼ぎ出している。ロシアのガスパイプラインを支配しており、生産したガスは国内だけでなくヨーロッパや旧ソ連圏諸国に販売している。前身は旧ソ連の石油ガス工業省で、1989年に同省から分離・発足し、1992年に共同出資会社になった。ウラルや西シベリアに保有するガス田は枯渇が懸念されるが、バレンツ海、サハリンなどに鉱区をもち、天然ガスの長期安定供給が可能とみられている。

 世界的な資源高騰で、2008年にはガスプロムの時価総額が3400億ドルと世界3位にまで上昇。「21世紀に入って世界でもっとも成長した会社」とよばれ、内外のエネルギー会社や開発プロジェクトに出資、参加している。ロシアの元大統領メドベージェフは就任直後の2008年6月まで同社会長を務め、2001年社長に就任したアレクセイ・ミレルはロシア大統領を務めたプーチンの片腕といわれるなど、政治との密接な関係をもつ。ウクライナとの天然ガス供給をめぐる紛争では、ガスプロムが同国向けガス供給を一時停止した。

 ガスプロムは企業グループを形成しており、ガスプロム銀行などの金融機関やポリプロピレン製造会社を傘下におき、通信ネットワークも所有している。2005年にはロシアの石油精製会社シブネフチを買収し、子会社とした(ガスプロムネフチと改名)。ガスプロムの2011年の売上高は4兆7358億ルーブル、純利益は6341億ルーブル。

[矢野 武]

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百科事典マイペディア 「ガスプロム」の意味・わかりやすい解説

ガスプロム[会社]【ガスプロム】

ロシアに本拠を置く世界最大の天然ガス供給会社。ソ連時代の1989年に,石油ガス工業省が改組され,同社が設立された。現在もロシア政府が4割近くの株式を保有し,事業運営にはロシア政府の意向が大きく影響する。2008年メドベージェフが大統領当選し,取締役会議長を退任した。石油会社や石炭会社を相次いで傘下に収め,総合エネルギー会社へと事業規模を拡大している。2007年ロシア・サハリン沖の資源開発事業〈サハリン2〉の運営にも参画。本社モスクワ。2011年売上高4兆6370億ルーブル。
→関連項目メドベージェフ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガスプロム」の意味・わかりやすい解説

ガスプロム
Gazprom

ロシアの天然ガス独占企業。天然ガス生産・供給では世界最大級。1989年にソビエト連邦のガス工業省と石油工業省が統合される際,ガス事業を引き継ぐ企業として設立され,1993年に株式会社化された。当初は市場経済への移行に伴い解体される予定であったが,2000年代にプーチン政権のもとでエネルギー産業の国家管理が強化され,2005年にガスプロム株式の 50%を政府保有とし,残りの 50%は売却された。パイプライン網を通じてヨーロッパおよび旧ソ連諸国に天然ガスを輸出しているが,ウクライナやベラルーシなどとの間で,ガス価格や料金不払い,パイプラインからのガス抜き取りをめぐってたびたび紛争が起こり,ロシアがガス供給を停止する事態が発生した。

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