天然ガスを採掘から供給まで行うロシア政府系企業で、世界最大級の天然ガス会社。2020年には全世界の天然ガス埋蔵量の16%を所有し、生産量は世界の11%に上った。ガスを各地に輸送するパイプライン17万6千キロを所有。ロシア極東から西欧まで敷設され、欧州には供給網が張り巡らされている。日本にも極東サハリンから液化天然ガス(LNG)を供給している。(共同)
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ロシアにある世界最大のガス会社。本社はモスクワ。ロシア政府が50%強の株式をもつ半官半民の企業で、ロシアの国内総生産(GDP)の1割前後を稼ぎ出している。ロシアのガスパイプラインを支配しており、生産したガスは国内だけでなくヨーロッパや旧ソ連圏諸国に販売している。前身は旧ソ連の石油ガス工業省で、1989年に同省から分離・発足し、1992年に共同出資会社になった。ウラルや西シベリアに保有するガス田は枯渇が懸念されるが、バレンツ海、サハリンなどに鉱区をもち、天然ガスの長期安定供給が可能とみられている。
世界的な資源高騰で、2008年にはガスプロムの時価総額が3400億ドルと世界3位にまで上昇。「21世紀に入って世界でもっとも成長した会社」とよばれ、内外のエネルギー会社や開発プロジェクトに出資、参加している。ロシアの元大統領メドベージェフは就任直後の2008年6月まで同社会長を務め、2001年社長に就任したアレクセイ・ミレルはロシア大統領を務めたプーチンの片腕といわれるなど、政治との密接な関係をもつ。ウクライナとの天然ガス供給をめぐる紛争では、ガスプロムが同国向けガス供給を一時停止した。
ガスプロムは企業グループを形成しており、ガスプロム銀行などの金融機関やポリプロピレン製造会社を傘下におき、通信ネットワークも所有している。2005年にはロシアの石油精製会社シブネフチを買収し、子会社とした(ガスプロムネフチと改名)。ガスプロムの2011年の売上高は4兆7358億ルーブル、純利益は6341億ルーブル。
[矢野 武]
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