ガボ(読み)がぼ(英語表記)Naum Gabo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガボ」の意味・わかりやすい解説

ガボ
Gabo, Naum

[生]1890.8.5. ブリャンスク
[没]1977.8.23. コネティカット,ウォーターベリー
ロシア生れのアメリカの彫刻家。本名 Naum Neemia Pevsner。彫刻家ペブスネルの弟。 1910年ミュンヘンで医学,自然科学を学ぶ。 12年にカンディンスキーに会う。第1次世界大戦勃発に際しオスロに逃れ,15年にキュビスムの手法による最初の彫刻を制作。 17年兄とともにロシアに帰国し,モスクワで構成主義運動に参加。 20年同地で兄と「リアリスト宣言」を発表,政治的性格を強めた。その後構成主義を批判し,22年ベルリンに移る。 26~27年には S.ディアギレフのバレエ団の舞台装置を手がけ,32~35年パリで「アブストラクシオン・クレアシオン」グループに参加。 35年ロンドンに移り,"Circle"誌の編集にたずさわる。 57年にロッテルダムにバイエンコルフ・ビルのための巨大な記念像を完成。金属板,プラスチック,ナイロンなどの新素材で空間構成を目指した彼の抽象彫刻は,現代彫刻に大きな足跡を残した。代表作"Column" (1923,ニューヨーク近代美術館) ,"Spiral Theme" (41,グッゲンハイム美術館) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガボ」の意味・わかりやすい解説

ガボ
がぼ
Naum Gabo
(1890―1977)

アメリカの彫刻家。本名はNaum Neemia Pevsnerで、兄のアントアーヌ・ペブスナーも彫刻家。ロシアのブリアンスクに生まれ、ミュンヘンで医学、工学を修め、またウェルフリンの美術史学の講義を聴く。1913~14年パリに滞在し、キュビスムに影響される。15年、戦争の混乱を逃れオスロに赴いたとき、彼の最初の構成物を手がける。17年、革命後に帰国し、セルロイドなどの素材により、現代彫刻を特色づける非重量的な立体を制作。タトリンたちと交友、構成主義の運動をおこす。20年、兄とともに新たな実在の芸術を標榜(ひょうぼう)する「レアリスム宣言」を発表。同年にはモーターを使用したキネティック・アート(動く芸術)を制作。芸術と社会の結合を目ざすが、その立場はタトリンたちとは異なり、より美学的であった。新興芸術への政治圧迫が加わると、22年ベルリンを去り、33年パリ、35年ロンドンで活躍したのち、46年にアメリカに渡り帰化した。

藤枝晃雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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