ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガポン」の意味・わかりやすい解説
ガポン
Gapon, Georgii Apollonovich
[没]1906.4.10. ペテルブルグ近郊オゼルキー
ロシア正教会の修道士,労働組合運動家。 1903年労働運動を革命を目指す政治闘争からブルジョアジーに対する経済闘争に転換させることをもくろんだ。オフランカ (秘密警察) と接触,その援助のもとに,ロシアの労働者の根強い正教会への信心を利用しつつ,「ロシア工場労働者組合」を結成。日露戦争中の生活費騰貴とストライキの頻発に助けられて,ペテルブルグ機械工業のほとんどすべての「適格」労働者を網羅したロシア労働組合運動の指導者となった。 05年1月 22日 (旧暦9日) ,20万人以上のペテルブルグ労働者およびその家族を率い,ツァーリの肖像を掲げて冬宮への請願デモの先頭に立ち,ツァーリに請願書を手渡そうとしたが,軍隊の一斉射撃を浴びて果さず (いわゆる「血の日曜日」事件) ,国外に逃走。ジュネーブにいたり,社会革命党 (エス・エル) 外国組織,レーニンらに接近,「公開状」を発して全革命政党の結集を呼びかけたが失敗。以後しばらくイギリスの船をチャーターして武器の密輸に従事。帰国後,労働者組織の再編成を行おうとしたが,警察との関係を疑う労働者によって暗殺された。
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