インドネシアに広く分布する竹・木製打楽器の一種。非常に古い起源を持つことは,考古学的資料や文献から推察できる。ガンバンには,鍵盤がふぞろいに並べられ二またの桴(ばち)を両手に持って演奏されるタイプと,鍵盤が音の高い方を右手にして順番に並べられ,またに分かれていない桴で演奏されるタイプとがある。前者がより古く,葬式の際に死者の魂を天に導く音楽として用いられていたらしいが,現在ではバリ島の一部に残るのみである。後者は金属製旋律打楽器を中心とする器楽合奏ガムランの重要な構成楽器である。竹・木製の鍵盤楽器には,ガンバンのほかに,鍵盤が低音の方を手前にして奏者に対して平行に並べられるタイプのものもあり,古くからインドネシア各地に分布しており,チャルンという名称が一般的に用いられている。
→ガムラン
執筆者:田村 史子
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インドネシアとフィリピンの木琴形体鳴楽器。舟形の共鳴箱の上におよそ16~25の木、竹、青銅の鍵(けん)を音階順に並べたもので、2本の桴(ばち)で奏される。木製のものはガンバン・カユgambang kayuとよばれ、ジャワ島のガムランのなかで旋律装飾楽器として使われる。青銅製のガンバン・ガンサg. gangsaは今日では廃れ、ほとんどみられない。バリ島には竹製のガンバンを含む合奏、ガムラン・ガンバンgamělan g.がある。これらはスレンドロまたはペロ音列に調律される。なお、同種の木琴はタイのラナートranāt、ミャンマー(ビルマ)のパッタラーpattalāなど、東南アジアに広く分布している。
[川口明子]
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…金属製の旋律打楽器を中心とする大編成の器楽合奏ガムランが,この地域では最も特徴的である。この種のガムランは音の大きなゴング類や太鼓類を中心とする楽器群(戦闘や宗教儀礼用)と,グンデル,ガンバンなどやわらかい音色の鍵盤楽器群(祖霊供養儀礼用)とを結びつけて,17,18世紀の頃,ジャワとバリの王宮でそれぞれ完成されたものである。声楽に関してはジャワ語の定型詩を一定の朗吟旋律にのせて歌うことが盛んである。…
※「ガンバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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