六訂版 家庭医学大全科 「がん性胸膜炎」の解説
がん性胸膜炎
がんせいきょうまくえん
Carcinomatous pleurisy
(呼吸器の病気)
どんな病気か
がんが胸膜に
原因は何か
がん性胸膜炎を引き起こす悪性腫瘍としては肺がんが最も多く、次いで胃がん、乳がん、卵巣がん、膵(すい)がん、悪性胸膜中皮腫(ちゅうひしゅ)などが頻度の高い原因です。
症状の現れ方
胸痛(深呼吸や
検査と診断
胸部X線検査で胸水がたまった像を認め、
胸水の検査だけで診断が得られない場合には、胸腔鏡を用いて胸腔内を観察し、病変部位を生検して、がん細胞を証明することもあります。
治療の方法
胸腔ドレナージを行い、胸水が減った時点でアドリアマイシンなどの抗がん薬やピシバニールを注入し、胸水が再びたまるのを予防します。同時にシスプラチンなどの抗がん薬の全身投与を行います。
しかし、多くの患者さんの予後は極めて不良です。
病気に気づいたらどうする
深呼吸や咳で増悪する胸痛を自覚すれば、胸膜炎を疑い、早めに内科を受診しましょう。とくに喫煙者の方が前記の症状を感じれば、肺がんによるがん性胸膜炎の可能性があるので、至急に内科を受診します。
また、中年以降の女性は、喫煙歴がなくても肺がんが発生することがあるので、注意が必要です。
沖本 二郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報