ゴールズワージー(その他表記)John Galsworthy

デジタル大辞泉 「ゴールズワージー」の意味・読み・例文・類語

ゴールズワージー(John Galsworthy)

[1867~1933]英国の小説家劇作家自由主義改良主義の立場から、当時の英国社会の物質主義を批判。1932年ノーベル文学賞受賞。小説「フォーサイト家物語」、戯曲銀の箱」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ゴールズワージー」の意味・読み・例文・類語

ゴールズワージー

  1. ( John Galsworthy ジョン━ ) イギリスの小説家、劇作家。自由主義的改良主義の立場に立ち、社会問題を主題にした小説や戯曲を多く書いた。一九三二年ノーベル文学賞を受賞。代表作は、三部作の長編小説「フォーサイト家の記録」、戯曲「銀の箱」「裁判」など。(一八六七‐一九三三

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴールズワージー」の意味・わかりやすい解説

ゴールズワージー
John Galsworthy
生没年:1867-1933

イギリスの小説家,劇作家。ハロー校オックスフォード大学に学び,1890年弁護士の資格を取った。世界漫遊の後,97年ころからジョン・シンジョンの筆名で小説を発表していたが,本名で書いた《パリサイ人の島》(1904)でその社会批評的な作風を明らかにし,物欲にとらわれた新興資本家を描いた《財産の人》(1906)で作家としての地位を確立した。後者は後に三部作《フォーサイト家物語》(1922)の第1部となった。この成功の余勢をかって,3部からなる続編《近代喜劇》(1929)を完成,この両者を合わせたものが《フォーサイト家の記録》である。これにはさらにその外伝ともいうべき短編集と三部作が書き加えられた。このほか,地主階級を批判した《田舎邸》(1907),彫刻家の恋愛を描いた《暗い花》(1913)などの小説もある。

 代表作《フォーサイト家物語》にはビクトリア朝末期から第1次大戦を経て1926年のゼネストに至る世相が巧みに描かれており,社会史的資料としても興味深い。また劇作家としてもすぐれ,処女作《銀の箱》(1906)のほか,ストライキの裏面を暴露した《闘争》(1909),監獄制度の改善を促すことになったといわれる《正義》(1910)などの社会的関心の強い作品を数多く発表している。これらの全作品を一貫して流れる基調は自由主義的改良主義であり,それが一時知識階級の反感を買ったが,第2次大戦後には《フォーサイト家物語》がテレビ上映され好評を博した。1921年ロンドン・ペンクラブ会長となり,32年ノーベル文学賞を受賞した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴールズワージー」の意味・わかりやすい解説

ゴールズワージー
ごーるずわーじー
John Galsworthy
(1867―1933)

イギリスの小説家、劇作家。富裕な弁護士の子としてロンドン郊外に生まれ、ハロー校からオックスフォード大学に進み、弁護士の資格をとるが、転じて文筆生活に入る。小説『資産家』(1906)で注目を浴び、その連作『窮地』(1920)、『貸家』(1921)を発表、『フォーサイト家物語』を書き上げる。この続編として、『白猿』(1924)、『銀の匙(さじ)』(1926)、『白鳥の歌』(1928)よりなる『近代喜劇』を完成。これらに、長編三部作『終章』(1934、没後刊)を加え、『フォーサイト家年代記』と総称される。

 これは、19世紀後半から20世紀前半のイギリス社会を背景に、典型的ブルジョア階級の一家、フォーサイト家の人々を中心とする大河小説で、作者の意図は、新興ブルジョア階級の精神の批判にあったが、その態度はかならずしも一貫してはいない。バージニア・ウルフによって、ベネット、ウェルズらとともに「物質主義者」のレッテルを貼(は)られ批判を浴びたが、彼の作品は正統的リアリズムの手法で、前後50年間にわたるイギリス社会変貌(へんぼう)の過程をみごとに定着させている。

 劇作では『銀の箱』(1906)、『争議』(1909)、『公正』(1910)など、いわゆる「問題劇」の秀作が多い。1932年ノーベル文学賞受賞。

[小松原茂雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴールズワージー」の意味・わかりやすい解説

ゴールズワージー
Galsworthy, John

[生]1867.8.14. サリー,キングストンヒル
[没]1933.1.31. ロンドン
イギリスの小説家,劇作家。裕福な弁護士の家に育ち,ハロー校を経てオックスフォード大学を卒業。弁護士資格を得たが,世界周航の旅に出て,商船に乗組んでいたコンラッドと知合った。 1906年,小説『資産家』 The Man of Propertyで成功,『裁判沙汰』 In Chancery (1920) ,『貸家』 To Let (21) および短編を加えて『フォーサイト・サガ』 The Forsyte Sagaを完成。上層中流階級のフォーサイト家の消長を描くこの大河小説は,19世紀後半から第1次世界大戦後の時期にわたり,イギリスの昔日の強大さをつくり上げ,維持してきた第1世代のたくましい物欲と,自由や快楽を追求する次代との衝突の様相が語られる。フォーサイト家の記録は,さらに3部作『現代喜劇』A Modern Comedy (29) として書き続けられた。戯曲では『銀の箱』 The Silver Box (06) ,『闘争』 Strife (09) ,『正義』 Justice (10) などが好評であった。これらの作品におけるゴールズワージーには,19世紀的社会秩序を批判しながらも,その完全な崩壊を恐れてそれを愛惜するような,いわば不徹底な姿勢が認められる。 21年国際ペンクラブ初代会長に選ばれた。 32年ノーベル文学賞受賞。

ゴールズワージー
Goldsworthy,Andy

[生]1956. チェシャー
イギリスの美術家。ブラッドフォード美術学校,プレストン・ポリテクニックで美術を学んだ。 1970年代末から美術家としての活動を始め,土,雪,木の葉,氷,石など自然の物体を変形したり,彩色して自然環境のなかに置くのを特徴とし,それを写真に撮って発表することで知られる。みずからを語った著書『アンディ・ゴールズワージー』 (1990) がある。

ゴールズワージー
Goldsworthy

オーストラリア,ウェスタンオーストラリア州北西部,ピルバラ地方の鉄鉱石鉱山町の一つ。 1966年に建設された。ポートヘドランドの東 114kmにあり,さらに 66km東のシェイギャップとともにポートヘドランドの港と鉄鉱石専用鉄道で結ばれている。人口約 1000。

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百科事典マイペディア 「ゴールズワージー」の意味・わかりやすい解説

ゴールズワージー

英国の作家。弁護士の子で,オックスフォード大学では法律を学ぶ。改良主義的な立場から,膨大な小説群《フォーサイト家物語》のほか,労働・階級・刑法など社会問題を扱った《銀の箱》(1906年),《闘争》(1909年),《正義》(1910年)などの戯曲を書いた。ロンドン・ペンクラブ初代会長,1932年ノーベル文学賞。
→関連項目ペンクラブ

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世界大百科事典(旧版)内のゴールズワージーの言及

【フォーサイト家の記録】より

…イギリスの作家J.ゴールズワージーのフォーサイト家を扱った小説の総称。《フォーサイト・サガ》(1922),《近代喜劇》(1929),《フォーサイト家の変貌》(1930)の3部からなる。…

※「ゴールズワージー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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