日本大百科全書(ニッポニカ) 「キサントン」の意味・わかりやすい解説
キサントン
きさんとん
xanthone
環内に酸素原子を含む複素環式化合物の一つ。ジベンゾ-γ(ガンマ)-ピロンともいう。
この化合物自体は天然に存在しないが、誘導体はある種の植物(たとえばリンドウ科のスウェルチアマリン、ウルシ科のマンギフェリンなど)中に存在する。サリチル酸フェニルを280℃に加熱して環化させるとフェノールとともに得られる。無色の針状結晶。水には溶けないが、ベンゼンなどの有機溶媒には溶ける。硫酸に溶かすと黄色の溶液になり、青色の蛍光を発する。キサントン誘導体の天然色素としてはオイキサントンやゲンチシンなどがあり、前者は黄色染料ピウリの主成分として知られている。
[廣田 穰]