キシナウ(読み)きしなう(英語表記)Chişinǎu

デジタル大辞泉 「キシナウ」の意味・読み・例文・類語

キシナウ(Chişinǎu)

モルドバ共和国首都。旧称キシニョフ。農業地帯の中心にあり、ぶどう酒などの醸造農産物加工が盛ん。人口、行政区66万(2008)。チシナウ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キシナウ」の意味・わかりやすい解説

キシナウ
きしなう
Chişinǎu

モルドバ共和国の首都。モルドバが旧ソ連邦を構成する15共和国の一つでモルダビア共和国とよばれていた時代には、ロシア語でキシニョフКишинёв/Kishinyovとよばれていた。人口70万9900(2003推計)。ドニエストル川右岸の支流ビク川の両岸にまたがり、周囲をスモモブドウなどの果樹園のある丘陵が取り囲む。ウクライナオデーサオデッサ)とルーマニアヤーシとを結ぶ鉄道に沿う。市の起源は1420年とされ、16世紀初めから19世紀初めまではトルコ支配下のモルダビア公国領、実際にはヤーシの聖ピャトニツ修道院の荘園(しょうえん)であった。1812年にはロシア領、1873年からロシア領ベッサラビアの中心都市となった。さらに1918~1940年にはルーマニア領であったが、1940年ソ連領となってモルダビア共和国が創設されるとともにその首都となった。ソ連崩壊(1991年12月)後、モルドバ共和国として独立、その首都となっている。市は、豊かな農業地帯の中心地として、醸造(ぶどう酒、ブランデー、シャンパン)、農産物缶詰、製粉などの食品加工、繊維、皮革などの農産加工業が盛んである。精密機械、測定器具、オシロスコープ、軌条探傷機、トラクター、食品工業プラント設備、ポンプ洗濯機なども生産している。科学アカデミー、総合大学をはじめ、医学、教育、音楽、農芸など多くの研究教育機関も置かれている。

[渡辺一夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キシナウ」の意味・わかりやすい解説

キシナウ
Chişinău

モルドバの首都。ウクライナのオデーサの西北西約 160km,ドネストル川支流ブイク川に沿う。 15世紀より知られ,16世紀以降のトルコ領時代には商業中心地であった。 1812年ロシア領。第1次世界大戦後ルーマニア領,1940年ソビエト連邦領に入り,新たに成立したモルダビア=ソビエト社会主義共和国の首都,1991年独立したモルドバの首都となった。産業はモルドバ平原で生産される農産物の加工が中心。ワイン,ブランデー,小麦粉,果実缶詰,たばこ,食肉,酪農製品などを生産。皮革,縫製などのほか,機械 (トラクタ,ポンプ,冷蔵庫,洗濯機) ,木材加工などの工業も発展。周辺は,ブドウ,スモモなどの果樹畑の丘で囲まれる。市街は第2次世界大戦で大きな被害を受けたが,戦後再建され,緑化も進み,一部に古い建築物も残っている。科学アカデミー,モルドバ大学 (1945) をはじめ医学,農学,教育などの大学,ブドウ栽培・ワイン醸造研究所,音楽院,民族オペラ・バレエ劇場などがあり,文化の中心地でもある。オデーサ-ヤシ (ルーマニア) 間の国際鉄道に沿い,ロシアの首都モスクワ,ウクライナの首都キーウ,ルーマニアの首都ブカレストなどと空路で結ばれる。人口 67万4500(2014推計)。

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