アメリカの女流小説家。バージニア州生まれ。幼いころネブラスカ州に移り、移民や開拓者の社会で育ち、その体験に基づいて多くの作品を書き、地方主義作家の一人に数えられる。ネブラスカ大学卒業後、新聞・雑誌の仕事や教員をするかたわら創作を始めた。ニューヨークで文芸雑誌『マックルア』の編集に関係(1906~12)しながら、長編『アレグザンダーの橋』(1912)を出版。やがて、ともに中西部の大草原を舞台に、たくましく生きる開拓者の女性を主人公とした『おお開拓者よ!』(1913)と『私のアントニーア』(1918)を発表。『われらの仲間』(1922)ではピュリッツァー賞を受けた。ほかの主要作品に『迷える夫人』(1923)、『死を迎える大司教』(1927)、『岩の上の影』(1931)などがある。キャザーの小説は、運命と自然に対し、果敢に闘う人間の姿を美しい文体で表現し、アメリカ文学史上独自の地位を保っている。
[小林恵昭]
『小林健治訳『おお開拓者よ!』(『現代アメリカ文学全集2』所収・1957・荒地出版社)』▽『石井桃子編『20世紀英米文学案内12 キャザー』(1967・研究社出版)』
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アメリカの女流作家。バージニア州生れ。9歳のときネブラスカ州へ移住。大平原の自然とそこに生きるヨーロッパからの移民たちとの出会いから大きな影響をうけた。ネブラスカ州立大学を卒業後,ピッツバーグとニューヨークで教師,編集者。1912年発表の《アレクサンダーの橋》で文壇へ。大平原やアメリカ南西部の自然から力を得て,開拓者や芸術家として自立していく力強い女性を描いた《おお,開拓者たちよ》(1913),《ヒバリの歌》(1915),《私のアントニーア》(1918)が代表作。第1次大戦後,アメリカの現実に失望し,開拓者精神の衰退を描いた《迷える夫人》(1923),《教授の家》(1925)を発表。小説論《家具を取り払った小説》(1922)で自然主義的現実描写を排し,簡素化を主張した。以後の作品には過去に題材をとった《大司教に死は来る》(1927),《岩の上の影》(1931),《サファイラと奴隷娘》(1940)などがあり,現実逃避的な姿勢がうかがえる。
執筆者:佐藤 宏子
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