小松製作所(読み)こまつせいさくじょ

改訂新版 世界大百科事典 「小松製作所」の意味・わかりやすい解説

小松製作所[株] (こまつせいさくじょ)

日本最大の総合建設機械メーカー。略称コマツブルドーザーでは国内市場の6割以上を占める。1921年5月,竹内鉱業(株)(1885年芳谷炭坑として個人創業)内に1917年開設した小松鉄工所を分離して,現在の石川県小松市に現社名で設立された。翌年に竹内鉱業(株)小松電気製鋼所の電気炉などの設備資産を吸収,機械と鋳鋼の生産をともに行う。31年国産第1号のトラクター試作,43年には海軍航空基地建設ブルドーザー(日本のブルドーザー第1号)を完成した。第2次大戦後は47年河合良成が社長に就任,鋳鋼品と機械製品(トラクター,ブルドーザー等)の並行生産で再建を図った。51年フォークリフトモーターグレーダーの製作を開始。52年12月には池貝自動車製造(株),中越電化工業(株)を吸収合併して事業の基盤を固めた。50年代半ば以降多角的な事業展開を図り,57年小松化成,59年小松建設工業,60年小松電子金属および小松電子工業,64年には小松建物の各関連企業を設立。65年以降本格的な海外展開をすすめた。65年に合弁会社小松インターナショナル製造設立。売上比率は,8割弱がブルドーザー,パワーショベル,ホイールローダーなどの建設・鉱山機械,1割強が産業機械,残りはエレクトロニクスなどが占める。このため非建設機械部門の拡充と成長分野の商品開発を図っている。資本金679億円(2005年9月),売上高1兆4348億円(2005年3月期)。なお,同社の主力工場(粟津工場)がある小松市は,日本の代表的企業城下町の一つである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小松製作所」の意味・わかりやすい解説

小松製作所(株)
こまつせいさくしょ

建設機械メーカーの国内最大手。通称コマツ。1917年(大正6)竹内鉱業(炭坑経営)が自家用機械の生産のため開設した小松鉄工所が、21年に分離独立して設立された。早くから素材の鋳鋼生産と機械製作の一貫体制を敷き、1931年(昭和6)に農耕用トラクターを国産化、40年には大型油圧プレスの製作を開始した。さらに1943年には航空基地建設の必要から、のちに国産ブルドーザーの原型となった小松Ⅰ型均土車を完成した。第二次世界大戦後は1947年(昭和22)ディーゼルエンジン、ブルドーザー、産業車両の製造を開始、60年代には資本自由化対策として、全社的なTQC(総合的品質管理)運動を展開する一方、アメリカのカミンズ社、インターナショナル・ハーベスター社、ドイツのマイプレス社などと技術提携を進め、総合機械メーカーに成長した。また1973年の小松ブラジルの設立をはじめ、海外生産も活発である。資本金701億円(2008)、売上高2兆2430億円(2008。連結ベース)。

[中村清司]

『小松製作所編・刊『小松製作所五十年の歩み』(1971)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小松製作所」の意味・わかりやすい解説

小松製作所
こまつせいさくしょ

建設機械の総合メーカー。 1921年竹内鉱業から独立して設立,22年竹内鉱業の小松電気製鋼所を合併。 52年池貝自動車製造,中越電化工業を合併。 57年小松化成,59年小松建設工業,60年小松電子金属,小松電子工業,64年小松建物を設立。 91年コマツを呼称とする。ブルドーザに定評があり,トラクタ,パワーショベルなどの建設機械,フォークリフトなどの産業車両,プレス機械などの産業機械を生産している。最近は防衛産業にも進出し,装甲車や防衛施設器材の製造も行なっている。海外進出にも積極的で,67年小松ヨーロッパ (ベルギー) をはじめ,小松アメリカ (1970) ,小松マイプレス (70,西ドイツ) ,小松シンガポール (71) ,小松パナマ (72) ,小松ブラジル (73) ,小松 UK (85,イギリス) などの現地法人を設立。売上構成比は,建設機械 77%,産業機械6%,その他 18%。年間売上高1兆 615億 9700万円 (SEC方式。うち輸出 42%) ,資本金 701億 2000万円,従業員数1万 1286名 (1999) 。

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百科事典マイペディア 「小松製作所」の意味・わかりやすい解説

小松製作所[株]【こまつせいさくしょ】

建設機械の世界的企業。1921年竹内鉱業から独立,石川県小松市に設立された。国産第1号のトラクターの試作やブルドーザーの完成を経て,第2次大戦後いち早くブルドーザー生産に進出,国内市場では圧倒的,世界的にも米国キャタピラー社と競合する。ショベル,グレーダー,フォークリフトなど建設機械,産業車両類を広く生産する。2006年半導体製造子会社を,2007年には農林機器事業を売却するなど,本業集中を進めている。本社東京,工場粟津,大阪,小山ほか。1991年通称をコマツと改めた。2011年資本金678億円,2011年3月期売上高1兆8431億円。売上構成(%)は,建設機械・車両88,産業機械他12。海外売上比率81%。

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