翻訳|caraway
セリ科(APG分類:セリ科)の一、二年草。和名ヒメウイキョウ(姫茴香)。ヨーロッパ原産で、石器時代から種子を香辛料や防腐剤に利用するため栽培された。日本へは明治初年に渡来したが、栽培は少ない。高さ30~60センチメートル、葉は2回羽状複葉で小葉は細く美しい。根は小さなニンジンのようで黄色肉質、風味もニンジンに似ている。春または秋に播種(はしゅ)すると、当年または翌年の初夏に白色花を開く。果実は細く、やや曲がった5ミリメートルほどで、果柄の先に2個が対(つい)になってつき、褐色に熟したときに収穫する。やや湿気の多い半日陰地でよく育つ。オランダが本場で、ポーランド、デンマークも産地である。近縁の香料植物イノンド(ディル)もヒメウイキョウとよばれることがあり、しばしば本種と混同される。
[星川清親 2021年11月17日]
完熟した種子をまるごと、あるいは粗びきしたものを香辛料として使う。とくにライムギパン、ケーキ、ビスケット、クッキーなど焼き上げるものによくあう。チーズ料理にもあい、キャラウェーチーズもある。ドイツのキャベツ料理のザウアークラウトや、オランダの酒キュンメルには欠かせないものである。ヨーロッパではもっとも古くから薬味用として栽培されていたようで、スイスの古代湖上住居跡からも種子が発見されている。アラビア人がこの香辛料を知ったのは12世紀になってからで、キャラウェーという名はアラビア語のkarauyaからきている。シェークスピアの『ヘンリー4世』の文中にも出ている。
[齋藤 浩 2021年11月17日]
果実を香辛料として利用するセリ科の一~二年草。ヨーロッパ原産で,石器時代から栽培したといわれる。根は指くらいの太さ。黄色,肉質で,形状,味ともにニンジンに似て,野菜とする。草丈30~60cmで無毛。茎の下部の葉は葉柄があるが,上部の葉は葉柄がなく羽状に多裂し,小葉は深裂して糸状になる。小さな花は白く,夏,散形花序に多数咲く。果実は長さ3~7mm,三日月形に湾曲し,5本の肋がある。果実はカルボンという精油を含有しカルムcarum実と呼び,ウイキョウの代用品として,健胃・駆風薬とする。スパイスとして,実を丸のまま,あるいは荒挽きして,ビスケット,キャンディ,ケーキ類に入れ,黒パンの香味付けにも入れる。料理では特にザウアークラウト(酢漬けキャベツ)に入れる。また,チーズの着香料に加え,キャラウェーチーズと呼ぶ。ヨーロッパ中部,特にオランダが本場で,ポーランド,デンマークも産地である。日本へは明治初年に渡来した。春または秋に,やや日陰地に種子をまく。
執筆者:星川 清親+村田 源
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