ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャロル」の意味・わかりやすい解説
キャロル
Carroll, Lewis
[没]1898.1.14. サリー,ギルフォード
イギリスの童話作家,数学者。本名 Charles Lutwidge Dodgson。オックスフォード大学に学び,1855~81年,母校の数学講師をつとめ,十数冊の数学書を著わす。筆名で発表した『ふしぎの国のアリス』 Alice's Adventures in Wonderland (1865) および『鏡の国のアリス』 Through the Looking-Glass and What Alice Found There (72) は,いずれも少女アリスの奇想天外な冒険を綴った空想物語で,児童文学の傑作として世界中で愛読されている。ほかにノンセンス詩『スナーク狩り』 The Hunting of the Snark (76) ,小説『シルビーとブルーノー』 Sylvie and Bruno (2巻,89,93) および詩集などがある。それらの物語や詩は児童文学の枠をこえて,現代のシュルレアリスムや不条理文学の先駆に数えられ,ノンセンス文学の典型ともいえる。キャロルは聖職者の資格を得ながら,内気な性格と吃音のために説教壇には立たず,写真を趣味に子供を愛しながら一生独身を守った。ビクトリア朝の代表的奇人である。
キャロル
Carroll, James
[没]1907.9.16. アメリカ,ワシントンD.C.
アメリカ陸軍の軍医。 1897~1902年,W.リードらとともにハバナのアメリカ陸軍黄熱委員会の委員として,黄熱の原因の探究に参加。自分自身の人体実験で,黄熱は一種のカ Aedes aegyptiによって人体に感染することを証明し,その病原体がウイルスであることを実証した。
キャロル
Carrol, Paul Vincent
[没]1968.10.20. グラスゴー近郊
アイルランドの劇作家。偏狭なカトリシズムと自由主義的思想の葛藤を扱った作品が多い。代表作『影と本質』 Shadow and Substance (1937) 。
キャロル
carol
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