キャロル(読み)きゃろる

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャロル」の意味・わかりやすい解説

キャロル
Carroll, Lewis

[生]1832.1.27. チェシャー,ダーズベリー
[没]1898.1.14. サリー,ギルフォード
イギリスの童話作家,数学者。本名 Charles Lutwidge Dodgson。オックスフォード大学に学び,1855~81年,母校の数学講師をつとめ,十数冊の数学書を著わす。筆名で発表した『ふしぎの国のアリス』 Alice's Adventures in Wonderland (1865) および『鏡の国のアリス』 Through the Looking-Glass and What Alice Found There (72) は,いずれも少女アリスの奇想天外な冒険を綴った空想物語で,児童文学の傑作として世界中で愛読されている。ほかにノンセンス詩『スナーク狩り』 The Hunting of the Snark (76) ,小説『シルビーとブルーノー』 Sylvie and Bruno (2巻,89,93) および詩集などがある。それらの物語や詩は児童文学の枠をこえて,現代のシュルレアリスムや不条理文学の先駆に数えられ,ノンセンス文学典型ともいえる。キャロル聖職者の資格を得ながら,内気な性格と吃音のために説教壇には立たず,写真を趣味に子供を愛しながら一生独身を守った。ビクトリア朝の代表的奇人である。

キャロル
Carroll, James

[生]1854.6.5. イギリス,ウーリッチ
[没]1907.9.16. アメリカ,ワシントンD.C.
アメリカ陸軍の軍医。 1897~1902年,W.リードらとともにハバナのアメリカ陸軍黄熱委員会の委員として,黄熱原因探究参加。自分自身の人体実験で,黄熱は一種のカ Aedes aegyptiによって人体に感染することを証明し,その病原体ウイルスであることを実証した。

キャロル
Carrol, Paul Vincent

[生]1900.7.10. ブラックロック
[没]1968.10.20. グラスゴー近郊
アイルランドの劇作家。偏狭なカトリシズムと自由主義的思想の葛藤を扱った作品が多い。代表作『影と本質』 Shadow and Substance (1937) 。

キャロル
carol

おもにクリスマスに歌われる単純な斉唱,合唱の宗教的祝歌。教会の儀式のための音楽に比べて民衆的な親しみやすい性格が特徴。 14~16世紀のイギリスで発展。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャロル」の意味・わかりやすい解説

キャロル(歌)
きゃろる
carol

中世後期からルネサンス初頭にかけてイギリスで繁栄した歌の一種。民衆的な舞踏歌、民衆的な宗教歌、行列式などで歌われる典礼歌などさまざまな形態があり、単旋律のものもポリフォニー楽曲もあった。聖母マリアやキリスト降誕を祝う聖者たちをはじめ、キリストの受難や復活、さらには恋愛や社会的、政治的できごとに至るまで、さまざまな内容を英語またはラテン語で歌っている。宗教改革以後、典礼形式の変化などに伴ってキャロルの内容も変化していった。今日では一般に、クリスマスに関連した歌のことを意味し、クリスマス・キャロルとよばれている。

[今谷和徳]


キャロル(ルイス・キャロル)
きゃろる

ルイス・キャロル

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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