日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンリョウソウ」の意味・わかりやすい解説
ギンリョウソウ
ぎんりょうそう / 銀竜草
[学] Monotropastrum humile (D.Don) Hara
イチヤクソウ科(APG分類:ツツジ科)の多年生の腐生植物。別名ユウレイタケ、マルミノギンリョウソウ。全体が純白色であるが、桃色を帯びるものもあり、乾くと黒くなる。茎は高さ5~20センチメートル、太く直立し、多数の鱗片葉(りんぺんよう)が上向きにつく。4~7月、茎頂に白い花が1個下向きに開き、包葉に包まれる。花柱は先が開出し、柱頭は暗紫色に染まる。丘陵帯から亜高山帯の腐植土の多い林床に生え、日本全土、樺太(からふと)(サハリン)、南千島、朝鮮、中国、ヒマラヤに分布する。名は、花が銀白色で下向きに開く姿を竜に見立てたもので、ユウレイタケの名は、葉緑素がないのでキノコを連想し、暗い林内に頂が垂れて開く草姿から白衣をまとった幽霊に見立てたものである。ギンリョウソウ属は、子房は1室で側膜胎座、果実は液果である。アジアに4種が分布する。
[高橋秀男 2021年4月16日]