改訂新版 世界大百科事典 「ギンリョウソウ」の意味・わかりやすい解説
ギンリョウソウ (銀竜草)
Monotropastrum humile(D.Don)Hara
林中のやや暗い,湿り気のある所に生えるイチヤクソウ科の腐生植物。葉緑体を欠き,全体が白くろうそくのように見える。和名は下向きの花を竜の頭に見立ててつけられた。また,薄暗い林中に生える様子から,ユウレイタケ(幽霊茸)ともいう。高さ8~20cm。葉は互生し,白色で鱗片状。春から夏にかけて,1個の白色の筒形の花が下向きにつく。萼片は全縁。おしべは6~10本。花柱の先は薄紫色を帯びる。子房は1室。果実は白色,液質で裂けない。千島,サハリン,日本,朝鮮,中国,ヒマラヤに分布する。
ギンリョウソウモドキMonotropa uniflora L.(英名Indian pipe)はギンリョウソウに似るが,晩夏から秋に開花し,萼片の縁は不規則に裂け,子房は3~5室,果実は上向きにつく蒴果(さくか)なので区別される。東アジア,北アメリカの温帯に広く分布し,アキノギンリョウソウの名もある。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報