クエンカ(英語表記)Cuenca

デジタル大辞泉 「クエンカ」の意味・読み・例文・類語

クエンカ(Cuenca)

エクアドル中南部の都市。アスアイ県の県都。スペイン王カルロス1世の命に基づき1557年に建設された。植民地時代の建造物が数多く残り、1999年、「サンタアナ‐デ‐ロス‐リオス‐デ‐クエンカの歴史地区」として世界遺産(文化遺産)に登録された。
スペイン中央部、カスティーリャ‐ラ‐マンチャ州の城塞都市。マドリードの南東約130キロメートルに位置する。要塞は9世紀にイスラム教徒によって造られたもの。12世紀にレコンキスタ国土回復運動)が起こり、キリスト教徒の町となった。クエンカ大聖堂や、断崖からせり出すように建てられた宙吊りの家など、独特の景観から「魔法にかけられた町」ともよばれる。1996年「歴史的城壁都市クエンカ」として世界遺産(文化遺産)に登録された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クエンカ」の意味・わかりやすい解説

クエンカ
Cuenca

エクアドル南部,アスアイ州の州都。正式名称はサンタアナデクエンカ Santa Ana de Cuenca。アンデス山脈中の盆地 (スペイン語でクエンカ) にあり,標高約 2600m。インカ帝国第 11代皇帝ワイナ・カパックの居城があった地に,1557年スペイン人によって建設された。グアヤキル,キトに次ぐエクアドル第3の都市で,エクアドル南部の商業中心地となっており,農産物や家畜,皮革,大理石などが取り引きされる。また繊維,レース,皮革製品,宝飾類,食品などの工業が立地し,パナマ帽,良質の飲料水の産地としても知られる。毎週木曜日に開かれるインディオの定期市は市の重要な経済活動であるとともに,多くの観光客を集める。石畳の街路や古い大理石造りの家にスペイン植民地時代の面影を残した旧市街は,1599年建造の修道院をはじめとする優れた建築物も保存されており,1999年世界遺産の文化遺産に登録された。アスアイ大学 (クエンカ大学,1868) ,クエンカ・カトリカ大学 (1970) の所在地。パンアメリカン・ハイウェーが通るほか,キトとグアヤキルを結ぶ幹線鉄道から分岐する鉄道が通じる。人口 19万 4981 (1990) 。

クエンカ
Cuenca

スペイン中部のカスティリア・ラマンチャ自治州クエンカ県の県都。マドリードの東南東約 140km,クエンカ山地の西端,フカル川沿岸に位置する。古代ローマの町コンカが起源で,ムーア人に占領され,1177年にカスティリア王国アルフォンソ8世の支配するところとなり,16世紀頃は銀と毛織物で有名な町となった。近くの山地から切り出される木材の集散地で,家具,紙,皮革などを産する。マドリードとバレンシアを結ぶ鉄道が通る。天然の要害を利用した独特の景観の町並みは,1996年世界遺産の文化遺産に登録。ルネサンスゴシック様式の有名な 13世紀の大聖堂など,歴史的建築物が多い。人口4万 2615 (1991推計) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「クエンカ」の意味・わかりやすい解説

クエンカ
Cuenca

エクアドル南部の山間部にあるアスワイ州の州都。首都キトの南300kmに位置し,標高2582mの盆地にある。人口30万3994(2003)で同国第3の大都市だが,海岸地方における産業と交通の発達により同市の重要性は低下した。パナマ帽と陶器の生産で知られる。1557年,スペイン人コンキスタドールが建設,以後鉱山開発で繁栄し,新旧の聖堂をはじめ,修道院,教会が多く,大学もあって文教都市となっている。
執筆者:


クエンカ
Cuenca

スペイン中東部,新カスティリャ地方の同名県の県都。人口3万9860(1982)。県都クエンカは,河川浸食と風化でできた奇抜な形の丘の頂に,中世の要塞と町並みが続き,その景観から〈魔法にかけられた都市〉と呼ばれている。クエンカ県は中央台地の南端に位置する山がちな地形を利用して牧畜業が営まれ,穀物,オリーブ,ブドウなども産出する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クエンカ」の意味・わかりやすい解説

クエンカ(スペイン)
くえんか
Cuenca

スペイン中央部、カスティーリャ・ラ・マンチャ地方クエンカ県の県都。人口4万6341(2001)。フッカル川の上流、標高約100メートルの峡谷に臨み、外界とは橋で結ばれる。9世紀にイスラム教徒が占領して城塞(じょうさい)を建設し、1177年カスティーリャのアルフォンソ8世が奪回した古い都市。中世のおもかげを残し、城壁で囲まれ、七つの城門から狭い道が急坂をなしてゴシック様式の大寺院や城へと続いている。銀細工などの伝統的な手工業がみられる。1996年に「歴史的城壁都市クエンカ」として世界遺産の文化遺産に登録されている(世界文化遺産)。

[田辺 裕・滝沢由美子]


クエンカ(エクアドル)
くえんか
Cuenca

南アメリカ北西部、エクアドルの高原盆地南部の標高2600メートルにある古都。人口27万6964(2001)。1557年に建設され、植民地時代の景観をよくとどめた整備された町並みで知られる。太平洋岸低地におけるプランテーション経営者などの別荘が多く、観光地になっている。周辺は肥沃(ひよく)な農業地帯(酪農と混合農業)で、キナ皮(マラリアの特効薬キニーネの原料)や皮革、陶器、砂糖、毛織物、機械などの工場がある。日本の企業の進出もみられる。

[山本正三]

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百科事典マイペディア 「クエンカ」の意味・わかりやすい解説

クエンカ

エクアドル中南部の都市。標高約2500mの高原にあり,気候快適。陶器,パナマ帽の製造が行われる。1557年スペイン人が創設,鉱山開発で栄えた。新旧の聖堂,大学などの多い文教都市で,典型的植民都市として1999年世界文化遺産に登録。32万9928人(2010)。

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