日本大百科全書(ニッポニカ) 「クガイソウ」の意味・わかりやすい解説
クガイソウ
くがいそう / 九蓋草
[学] Veronicastrum sibiricum (L.) Penn. subsp. japonicum (Nakai) Yamaz.
ゴマノハグサ科(APG分類:オオバコ科)の多年草。茎は株立ちして直立し、高さ約1メートル、葉は4~8枚が輪生する。7~8月、茎頂に長い総状花序を出し、多数の小花が密生する。花冠は青紫色で筒状、先は4裂し雄しべ2本は花外に長く突き出る。蒴果(さくか)は卵形で、中に多数の円い小さな種子を含む。北海道、本州、四国、九州の山地から亜高山帯の草地に多くみられる。四国と九州のものは変種とされる。名は、花茎に9節ほどの輪生葉がつくことによる。民間では根茎を煎(せん)じて利尿剤とする。クガイソウ属にはこのほかにスズカケソウの仲間があり、約20種がおもに東アジアに分布する。近縁のルリトラノオ属とは、花冠が筒状であること、蒴果や種子の形などから区別される。
[久保多恵子 2021年8月20日]