日本大百科全書(ニッポニカ) 「クナ」の意味・わかりやすい解説
クナ
くな
Cuna
パナマからコロンビアにかけて住む先住民集団。総人口は推定約3万8000人。チブチャ語系のクナ語を話す。大部分のクナの人々はカリブ海岸のサンブラス諸島の39の村に分かれて住み、少数の人々が、パナマ本土とコロンビアのカリブ海岸に住む。同諸島およびパナマ本土の一部は政府公認のクナ居留区となっている。村のリーダーが集まって開かれる会議がサンブラス諸島のクナの最高決定機関となっている。村はお互いに独立していて、それぞれが強いアイデンティティを保持している。集会所を中心として家屋が密集した村は、社会生活や娯楽のための場所であり、労働の場所である畑はすべて本土の密林の中にある。主要作物は焼畑耕作によるバナナ、ココナッツであり、密林の狩猟や海の漁労がそれを補完する。男たちは現金収入を求めてパナマや運河地帯に出稼ぎに行き、島を訪れるコロンビア人商人との交易も活発である。女性はモラとよばれる色鮮やかな上衣をつくる。モラの技法は、色の違う数枚の布を重ね、上部の布を模様にしたがって切り抜き下の色をみせる逆アップリケの手法を用いたもので、現在では有名な民芸品として現金収入源ともなっている。
[木村秀雄]