クマロン(読み)くまろん(英語表記)cumarone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマロン」の意味・わかりやすい解説

クマロン
くまろん
cumarone

環内に酸素原子を含む複素環式化合物の一つ。ベンゾフラン別名をもつ。コールタールの軽油留分に少量含まれている。

 フェノキシアセトアルデヒドを塩化亜鉛の存在下で環化させると得られる。無色芳香をもつ液体で、水には溶けないが種々の有機溶媒に溶ける。クマロンおよびインデンを含有するタール留分を精製して重合させると、クマロン樹脂あるいはクマロンインデン樹脂とよばれる熱可塑性の合成樹脂が得られる。これは塗料印刷インキなどの製造に用いられる。

[廣田 穰]


クマロン(データノート)
くまろんでーたのーと

クマロン

 分子式 C8H6O
 分子量 118.1
 融点  <-18℃
 沸点  174℃
 比重  1.0766(水15℃,測定温度15℃)
 屈折率 n22.2/D 1.565

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマロン」の意味・わかりやすい解説

クマロン
coumarone

ベンゾフランともいう。沸点 173~175℃。芳香族性をもつ無色の液体。 168~175℃で留出するコールタール留分に特に多く含まれている。硫酸によって樹脂状物質となるが,アルカリ塩酸に対してはかなり安定である。過マンガン酸カリウムなどの酸化剤によって分解され,臭素とも反応する。

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