セラミックス(読み)せらみっくす(英語表記)ceramics

デジタル大辞泉 「セラミックス」の意味・読み・例文・類語

セラミックス(ceramics)

成形し焼成して得られる無機物質からなる製品。陶磁器ガラス耐火物碍子などの窯業製品の総称。1980年代以降、炭化物窒化物などの耐火性物質も作られ、ファインセラミックスとよばれる。従来の窯業製品はファインセラミックス(ニューセラミックス)に対し、オールドセラミックスともよばれる。

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精選版 日本国語大辞典 「セラミックス」の意味・読み・例文・類語

セラミックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] ceramics ) 窯業で生産される製品の総称。→ファインセラミックス。〔世界を変える現代物理(1963)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス
せらみっくす
ceramics

一般には窯業製品をいうが、今日ではもっと広く、粘土の使用に関係するすべての工業その他、およびそれらから派生する製品をすべて包含している。ギリシア語のkera(成形性を与えるための蝋(ろう))、keras(角(つの))、keramos(酒を入れる角またはコップ)、keramion(土製の容器)、kerameia(陶芸)に由来する語である。

[素木洋一]

セラミックスの定義

現在用いられているセラミックスに対して、各国がそれぞれ独自の定義を定めているが、イギリスおよびヨーロッパ諸国では、「まず成形され、次に熱によって硬化された無機物質からなる製品」が基本になっており、したがって陶磁器と耐火物に限られる。これに対しアメリカのセラミック学会では「無機、非金属物質を原料とした製造に関する技術および芸術で、製造あるいは使用中に高温度(約540℃以上)を受ける製品と材料」と定義しており、日本ではこの定義に従っている。ここでは陶磁器と耐火物、セメント、ガラス、ほうろう合成宝石などが包含される。

[素木洋一]

セラミックスの成形・焼結

セラミックスは、まず成形してから焼結させなければならない。用途によって種々の形状が要求され、さらに成形方法によっても、得られた焼結体は性質にかなりの相違が出てくる。

[素木洋一]

セラミックスの種類と用途

狭義のセラミックスは、天然の原料をほとんどそのまま使用してつくられた、粗で多孔質の製品から、原料を精製し調合してつくられた緻密(ちみつ)で精細な製品へと進歩してきた。そのためヨーロッパやアメリカでは、前者をコース・セラミックスcoarse ceramics(粗セラミックス)、後者をファイン・セラミックスfine ceramics(精セラミックス)と大別している。コース・セラミックスは重量があるので、ヘビー・セラミックスheavy ceramicsという場合も多い。

 セラミック製品は種類がきわめて多い。なお、天然原料を主体に用いた従来のセラミックスを伝統セラミックスtraditional ceramicsといい、粘土を用いないものを非粘土セラミックスnon-clay ceramics、粘土や酸化物を含まないファイン・セラミックスを非酸化物セラミックスnon-oxide ceramicsという。これらの素地出現と同時にその物性が解明され、さらにそれに見合った用途が明らかにされてテクニカル・セラミックスtechnical ceramics(産業用品)が多く製造されるようになった。

[素木洋一]

『素木洋一著『ファインセラミックス』(1976・技報堂出版)』『素木洋一著『入門 ファインセラミックス製造技術』(1984・技報堂出版)』

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百科事典マイペディア 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス

土器陶器磁器ガラスセメントなどの窯業(ようぎょう)製品ないし材料の総称。これらは主にケイ酸塩の天然原料を主原料とするが,それ以外にも,精選された非金属無機質固体(アルミナチタン酸バリウムなど)を原料とする新素材の開発が進み実用化されるに伴い,それらをとくにニューセラミックスファインセラミックスなどと呼ぶようになった。
→関連項目サーメット焼結審美歯科セラミック工具セラミックコーティング耐熱材料バイオセラミックス

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改訂新版 世界大百科事典 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス
ceramics

ギリシア語のkeramosに由来する言葉で,人為的な熱処理によって製造された非金属・無機質で所定の形状をもつ製品をいう。主として土器,陶器,磁器を指すが,窯の中で熱処理が行われること,主としてケイ酸塩の天然原料を用いることが共通であるとして,ガラス,セメントも含めるのが一般的である。成分的にケイ酸塩以外のものも使い,精選された人工の原料を用いて作られるものが,容器・構造材以外の用途にも使われるようになると,これらをニューセラミックスファインセラミックスと呼んで区別する。このいい方では陶磁器,ガラス,セメントはコンベンショナル(汎用)セラミックスとなる。
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化学辞典 第2版 「セラミックス」の解説

セラミックス
セラミックス
ceramics

窯業ともいう.ギリシア語の粘土焼成物を意味するkeramosに由来する.国によってかなりその意味は異なっている.1963年にアメリカが決めた定義は「セラミックプロセス(ceramic process)で品物をつくる技術あるいは芸術に用いる一般語,あるいはそのようにしてつくられた品物」である.1887年に植田豊橋が窯業と訳した.一般的な意味でセラミックスという場合には,無機,非金属製品で製造または使用時に高温を受けるものであり,金属酸化物,ホウ化物,炭化物,窒化物,およびこれらの混合物や化合物の焼結体も含めている.ヨーロッパやロシアでは粉体を成形し,形態を崩すことなく焼成されたものに限定する.したがって,セメントやガラスなどを含めないことが多い.また,古くからつくられている天然原料を主体にしたものを伝統的セラミックス(traditional ceramics)あるいは古典的セラミックス(classic ceramics),人工物を主体にしたものを,ニューセラミックス(new seramics)としてそれぞれ区別することも多い.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セラミックス」の意味・わかりやすい解説

セラミックス
ceramics

窯業で生産される製品の総称。たとえば陶磁器,ガラス,ほうろう,耐火物,サーメット,研磨剤など。製陶術,窯業そのものを意味することもある。粘土,長石,石英など天然原料からつくられた製品をクラシックセラミックスといい,サーメット,フェライト,デビトロセラミックスなどのように人工鉱物からつくられたもの,あるいは学問的に開発された製品をモダンセラミックス,またはニューセラミックスという。 (→ファインセラミックス )  

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リフォーム用語集 「セラミックス」の解説

セラミックス

語源はギリシア語の「陶器」。陶磁器、ガラス、ホーローなどを含む窯業製品(ようぎょうせいひん)の総称。

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世界大百科事典(旧版)内のセラミックスの言及

【窯業】より

…無機質固体原料を高温で熱処理することによって改質させ有用な材料(これを窯業製品あるいはセラミック製品と呼ぶ)として供給する工業をいう。ここで無機質固体原料とは,物質的にみるとケイ酸塩を主体とする天然原料である鉱物の場合と,高度に精選された人工原料の場合とがある。鉱物質天然原料を用いる窯業製品の代表が陶磁器,ガラス,セメントであり,高純度人工原料から作られるものは電磁気材料,精密機械材料などに使われるファインセラミックスである。…

※「セラミックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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