クレアンテス(読み)くれあんてす(英語表記)Kleanthēs

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレアンテス」の意味・わかりやすい解説

クレアンテス
くれあんてす
Kleanthēs
(前331ころ―前232ころ)

古代ギリシアのストア学派哲学者。小アジアのアッソスの生まれ。ゼノンの後を継いでストア第2代の学頭となった。貧困のため、昼間は哲学を学び、夜間庭園の水くみをして暮らしをたてたという。言行一致の人で、同じ教説を長く守った。自然学では進歩が遅く学友からロバと嘲(あざ)けられたが、「確かにゼノンの荷を背負って行けるのは私だけだろうよ」と答えた。年老いて歯医者に絶食を命ぜられたが、治癒したのちも「私はすでに道の果てにきている」と食を断ち続けて死んだ。弟子は、彼の後継者クリシッポス、マケドニア王アンティゴノス2世など。著述として『ゼウス賛歌』がある。

[田中享英 2015年1月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレアンテス」の意味・わかりやすい解説

クレアンテス
Kleanthēs

[生]前331/前330. トロイ,アッソス
[没]前232/前231
ストア派の哲学者。アテネにおもむき,毎晩水運びなどをして生計を立てながらテーベクラテスやゼノンに学んだ。のちゼノンを継いでストア派の学頭となり師説の普及に努めた。彼は有徳の行為は現実性の認識によってのみ可能であるとし,意志力を重視してあらゆる徳の源泉とみなした。また彼は宇宙を生物体として太陽 (心臓部) は宇宙の霊魂である神の住居と考えた。著書『ゼウスの賛歌』が現存する。

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