債務者自身の申立てによって開始される破産をいう。法が自己破産を認めるのは,債務者に,債権者の共同担保たる自己の財産を減少させないという道義的責任を果たさせるためと債権者の個別的追及を免れて自力で経済的に再起する機会を保障するためである。最近,破産申立全体に占める自己破産の数・率がともに急増しているが,その原因の一つに消費者金融(いわゆるサラ金)で破綻した個人債務者が主として破産による免責を求めることを目的とする申立ての増加がある。このような例では,破産宣告があっても配当で終結する例は少なく,宣告と同時に破産手続を廃止することが多い(破産法145条)。債務者が極限状況に至って最後の手段として申立てをするために,当初から破産財団を構成すべき財産が欠乏し,手続費用さえ捻出することができないためである。
執筆者:西澤 宗英
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(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2007年)
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…倒産の徴憑として典型的な手形不渡りは支払停止の最も普通の形態であり,新聞等で倒産と報じられる場合は,おおむね破産原因がある。破産は債権者が申し立てる場合と債務者自身の申立てによる場合(自己破産)があり,近年注目すべきことは自己破産の著しい増加である。これは消費者金融によって破綻(はたん)した個人が破産制度を利用しはじめたことによるもので,かねてアメリカにおいて顕著にみられた現象であり,免責制度とあいまって,日本においても破産の債務者救済制度としての性格が明らかとなりつつあるといえる。…
…それでも,破産法は,基本的には事業者を対象にしており,ごく最近まで,非事業者(給与生活者,主婦)の破産という例もまれであったため,〈救済〉という側面はそれほど現実的な問題ではなかった。ところが,78年ころから,消費者金融(とくにサラ金)で破綻した個人が,免責を求めて破産宣告を申し立てる例(自己破産)が急増し,現行法のもつ救済法的性格が一躍前面に現れることになった。反面,理論も実務も,この新しい展開に必ずしも十分に対応しておらず,解釈論上,運用上さまざまな問題があらわれている。…
※「自己破産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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