日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロノグラフ」の意味・わかりやすい解説
クロノグラフ
くろのぐらふ
chronograph
時刻を示す通常の時計に、時間間隔を測るストップウォッチの機能が備わったものをいう。スプリットあるいはラップタイムの測定を必要とする際には置針クロノグラフ(おきばりくろのぐらふ)が用いられる。この時計は2本の秒針をもち、始動と同時にこれらが動き出し、押しボタンを押すと1本の針が止まり、記録後ふたたびボタンを押すと、止まっていた置針が動き続けているクロノグラフ秒針に追い付いて重なって動き続けるというものである。この種の時計では時刻目盛りのほか距離計、速度計、脈拍計などの特殊目盛りをもつものが多い。デジタル水晶時計ではこのクロノグラフ機能を備えたものは珍しくない。
クロノグラフの語は本来「時を書く」という意味で、記録を残す時計のことをいった。1807年T・ヤングは回転ドラム上に時間の始めと終わりをペンで記す記録式のクロノグラフを考案した。1840年代には、0.001秒まで測定できるものも出現。現在、紙テープや回転ドラムに記録するもののほか、電子管カウンターやブラウン管オシログラフによるものもある。
[元持邦之]