グラッベ(読み)ぐらっべ(英語表記)Christian Dietrich Grabbe

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラッベ」の意味・わかりやすい解説

グラッベ
Grabbe, Christian Dietrich

[生]1801.12.11. デトモルト
[没]1836.9.12. デトモルト
ドイツ劇作家。ライプチヒ,ベルリンで法律を学び,のち故郷に帰って弁護士になったが,飲酒癖と不幸な結婚から職を失い,窮乏のうちに 34歳で死亡。一貫して歴史上の英雄が現実に挫折する悲劇性を追求。群衆描写にすぐれ,シュトゥルム・ウント・ドラング運動の最後を飾るとともに表現主義の先駆をなす。主作品『テオドール・フォン・ゴートラント公』 Herzog Theodor von Gothland (1827) ,『ドン・フアンとファウスト』 Don Juan und Faust (29) ,『ナポレオン,または百日天下』 Napoleon oder Die hundert Tage (31) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラッベ」の意味・わかりやすい解説

グラッベ
ぐらっべ
Christian Dietrich Grabbe
(1801―1836)

ドイツの劇作家。民衆の力が封殺された王政復古期、庶民出身のグラッベの自意識は屈曲して民衆蔑視(べっし)に向かった。『ドン・ジュアンとファウスト』(1829)などの作にその傾向が目だつ。その後、歴史を動かす民衆の力を認め『ナポレオンまたは百日天下』(1831)を書く。群衆描写と映像的作劇法は現代作家にも影響を与えている。また『ハンニバル』(1835)は、逆境なかで自己の内面に目覚めた主人公が、甘んじて悲運を受容する姿を描く秀作。ほかに悲、喜劇6編など。

[小松崎瑞彦]

『小栗浩訳『ドン・ジュアンとファウスト』(1967・現代思潮社)』

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