ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グロステスト」の意味・わかりやすい解説
グロステスト
Grosseteste, Robert
[没]1253.10.9. バッキンガムシャー,バクデン
イギリスの聖職者,スコラ学者。オックスフォード,パリの各大学に学ぶ。 1235年リンカーンの司祭になるまで,オックスフォード大学総長として神学などを講義。この間彼はアリストテレスの著作や聖書を原語で研究し,ラテン語中心のキリスト教界に新風を吹込んだ。特にアリストテレスの自然学の著作のラテン語への翻訳と注解は,当時の自然科学の方法の転回を迫った。彼の思想にはときにアリストテレス主義と新プラトン主義の折衷がうかがわれるが,実地研究にもすぐれ,特に光学の分野に貢献した。彼は啓示と理性,聖書とアリストテレスとの矛盾を解決しようとした中世最初の学者であり,その光学理論でも,光を唯一最初の実体とし,独特の光の形而上学を展開。彼の科学的方法の後世への影響は大きい。
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