ゲティ(その他表記)Getty, Jean Paul

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲティ」の意味・わかりやすい解説

ゲティ
Getty, Jean Paul

[生]1892.12.15. アメリカ合衆国,ミネソタ,ミネアポリス
[没]1976.6.6. イギリス,サットンプレイス
アメリカ合衆国の石油事業家で美術収集家。南カリフォルニア大学,カリフォルニア大学バークリー校などに学び,1913年オックスフォード大学卒業。父のジョージ・F.ゲティの援助で,オクラホマ州タルサで石油採掘の事業を始め成功。1916年には億万長者となる。1930年父が亡くなると一族の会社の会長となり,石油採掘だけでなく,株の買収によって 200あまりの関連会社を手中に収める。1957年,経済誌『フォーチュン』が「アメリカ一の金持ち」と報道。以後,ゲティの名前には「世界一の大富豪」が冠されることになる。奇行でも知られ,生涯に 5回結婚,1973年には誘拐された孫の身代金支払いを拒否し,孫が耳を切り取られるなど,ゴシップの種の尽きない人物でもあった。1954年ロサンゼルス近郊の私邸を美術館として公開(→J.ポール・ゲティ美術館)。1976年に死亡した際,7億ドルをこの美術館に贈与。美術館とゲティ財団が中心となり,総工費 10億ドルの巨費を投じてロサンゼルスにゲティ・センター建設新館の美術館だけでなく,ビジュアル・アート発展に寄与するため研究所や助成プログラムが設立されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲティ」の意味・わかりやすい解説

ゲティ
げてぃ
Jean Paul Getty
(1892―1976)

アメリカの実業家、富豪。ミネアポリスの弁護士の家に生まれる。21歳で石油事業に進出油田売買により2年間で百万長者となった。その後も石油事業に積極的に投資を行い、支配権を拡大していったが、第二次世界大戦後はサウジアラビアで巨大な石油の利権を手に入れた。生涯に五度結婚し、20億ドルとも40億ドルともいわれる企業の資産と数億ドルに上る美術品のコレクションを遺産とし、ロンドン郊外で死去した。なお、1973年に起こったイタリア人による孫の誘拐事件では、妥協は事件の再発を促すという理由で、1600万ドルの身代金を拒絶し、世間の注目を集めた。

[小林袈裟治]

『鳥羽欽一郎著『世界のリッチマン物語』(1978・日本実業出版社)』

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