改訂新版 世界大百科事典 「コキンチョウ」の意味・わかりやすい解説
コキンチョウ (胡錦鳥)
Gouldian finch
Chloebia gouldiae
スズメ目カエデチョウ科の鳥。スズメより少し小さく,全長約14cm。カエデチョウ科の中ではもっとも鮮やかな色の美しい鳥の一つ。背が緑で腰が青く,胸は紫色。腹は黄色く,下尾筒は白い。中央2枚の尾羽は長く,先がとがっている。額と顔の色は黒いもの,赤いもの,黄色のものの3型があり,それぞれクロコキンチョウ,アカコキンチョウ,キコキンチョウと名付けられているが,これらは遺伝的な変異で,1腹の雛から3型が生ずることもあるといわれる。しかし,約3:1の割合で黒型が赤型より多く,黄型はまれである。雌はいくらか色が淡く,胸はぶどう色であり,中央2枚の尾羽は雄のように長くとがっていない。オーストラリア北部に分布する。サバンナにすみ,水辺のやぶを好む。雨季には乾いた地方へ移動する。水辺から離れすぎることは決してない。一夫一妻で繁殖し,巣は樹洞やシロアリの塚の穴につくることが多い。1腹4~8個の卵を産む。繁殖期は小群で昆虫を食べ,非繁殖期には大きな群れをつくり,草原で種子を食べる。姿が美しいので飼鳥として輸入される。じょうぶで巣引も比較的容易である。ヒエ,アワで飼う。シッシッと鳴く。
執筆者:中村 登流
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報