改訂新版 世界大百科事典 「コゴメウツギ」の意味・わかりやすい解説
コゴメウツギ
Stephanandra incisa Zabel
丘や山地によく見られるバラ科の落葉低木。幹は灰白色になり,叢生(そうせい)して,よく枝分れをし,高さは1m以下。葉は卵形で,先は長くとがり,ふちは浅くまたは中ほどまで裂け,両面とも軟らかい毛がある。花は,5月ごろに,総状花序をなして咲き,花弁は5枚で,白く広卵形,おしべは10本。果実は袋果で小さくて球形,熟すると裂ける。北海道から九州まで,また中国大陸にも分布する。蛇紋岩や石灰岩地帯に多く見られる。とくに利用される植物ではないが,まれに庭に植えられることもある。ユキノシタ科のウツギに似て花が小さいので,小米ウツギの意味で,この名がつけられている。
近縁のカナウツギS.tanakae Fr.et Sav.は,葉も花序もやや大型で,本州中部地方に見られる。
執筆者:山中 二男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報