こそあど(読み)コソアド

デジタル大辞泉 「こそあど」の意味・読み・例文・類語

こ‐そ‐あ‐ど

現代語の、代名詞形容動詞副詞連体詞の中で、指し示す働きをもつ語をまとめた呼び方。「これ・それ・あれ・どれ」(代名詞)、「こんな・そんな・あんな・どんな」(形容動詞)、「こう・そう・ああ・どう」(副詞)、「この・その・あの・どの」(連体詞)などが、それぞれ、コ系(近称)・ソ系(中称)・ア系(遠称)・ド系(不定称)の指示系列に整理される事実をいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「こそあど」の意味・読み・例文・類語

こ‐そ‐あ‐ど

  1. 〘 名詞 〙 代名詞・副詞・連体詞などの中の、指示の機能をもつ語、またはその体系をいう。代名詞で「これ・それ・あれ・どれ」、形容動詞で「こんな・そんな・あんな・どんな」、副詞で「こう・そう・ああ・どう」、連体詞で「この・その・あの・どの」などが、話し手とその相手との関係から、それぞれ、コ系・ソ系・ア系・ド系の指示系列に整理される事実についていう。佐久間鼎命名

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「こそあど」の意味・わかりやすい解説

こそあど

現代日本語の指示代名詞は、事物「これ・それ・あれ・どれ」、方角「こちら・そちら・あちら・どちら(こっち・そっち・あっち・どっち)」、場所「ここ・そこ・あそこ・どこ」というように、「こ・そ・あ・ど」という整然とした体系をなしている。この現象は、名詞的な語ばかりでなく、連体詞的な「こんな・そんな・あんな・どんな」および「この・その・あの・どの」や、副詞的な「こう・そう・ああ・どう」にもみいだされる。これは、「こ」系で近称を、「そ」系で中称を、「あ」系で遠称を、「ど」系で不定称を表すものである。佐久間鼎(かなえ)はこれを「〈こそあど〉の体系」とよんだ。なお、近称とか遠称とかいっても、単に距離が問題なのではなく、「こ」は話し手の勢力圏にあること、「そ」は聞き手の勢力圏にあること、「あ」は両者の勢力圏の外にあることを示すものである。

[山口佳紀]

『佐久間鼎著『現代日本語の表現と語法』(1936・厚生閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「こそあど」の意味・わかりやすい解説

コソアド

日本語の「指示する言葉」において,近称,中称,遠称,不定称が,それぞれコ-,ソ-,ア-,ド-の整然とした体系をなしている点に着眼して,佐久間鼎がつけた名称。コレ,ソレ,アレ,ドレ;コチラ,ソチラ,アチラ,ドチラ;コノ,ソノ,アノ,ドノ;コーソー,アー,ドーなど。それまでの,西洋文法の代名詞の枠にとらわれた見方から脱し,日本語内部の体系をとらえたものである (ただし,これらの文法的機能はいろいろである) 。なお,近,中,遠称の3つの区別をもつ言語は,日本語以外にも朝鮮語,トルコ語,ラテン語などがあるが,日本語とまったく同じ意義をもつとはかぎらない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android