コデマリ(読み)こでまり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コデマリ」の意味・わかりやすい解説

コデマリ
こでまり / 小手毬
[学] Spiraea cantoniensis Lour.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。高さ1~2メートルで株立ち状になり、枝先はやや弓形になる。葉は互生し、菱(ひし)状披針(ひしん)形または菱状長楕円(ちょうだえん)形、長さ2~4センチメートルで先はとがり、基部はくさび形になって狭まる。縁(へり)の上半部に鋸歯(きょし)があり、両面無毛で、裏面は白色を帯びる。4~5月、小枝の先に径約3.5センチメートルほどのまり状の散房花序をつけ、20個内外の白色の小花を開く。花は径約1センチメートルで、ほぼ円形の花弁が5枚あり、萼片(がくへん)は卵状三角形で先がとがり、縁に毛がある。雄しべは20~25本で、雌しべは5、6本ある。果実は5個の小さい袋果(たいか)からなり、10月ころ、褐色に熟して裂ける。

 中国中部の原産であるが、日本では江戸時代初期から栽培している。北海道から九州まで広く庭木として植え、またいけ花に古くから用いられている。土地を選ばず、日当りのよい所でよく育つ。繁殖挿木株分けによる。スイカズラ科(APG分類:ガマズミ科)のテマリバナオオデマリ)に似ているが、花序が球形で小形なのでこの名がつけられた。古くからスズカケともよばれている。品種に八重咲きのヤエコデマリがある。

小林義雄 2020年1月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「コデマリ」の意味・わかりやすい解説

コデマリ
Spiraea cantoniensis Lour.

バラ科の株立ちになる落葉低木で,観賞のため栽植される。ユキヤナギに似て高さ1~2m,枝は株もとから多数が分出し,先端部はやや垂れさがる。葉は披針形から長楕円形で互生し,長さ3cmほど。花は前年枝から出る短い当年枝の先につく散房花序に球状をなしてつき,コデマリの名がついた。花数は20個ぐらい。径8mmほどの白色5弁花で,花期は新枝が伸びてから開花するのでユキヤナギより遅く,4~5月。枝は赤褐色で,葉が濃緑色の点もユキヤナギと異なる特徴である。八重咲きの園芸品種はヤエコデマリと呼ばれている。中国大陸南東部(広東省,福建省)の原産で,日本へは古くに渡来したものらしく,江戸時代の初めには記録(《花壇綱目》1681)がある。繁殖は株分けが主で,比較的多肥を好む。株立ちになるので,生垣や庭園の植込みに使われる。また切花用にもされ,温室に取りこみ促成栽培が行われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コデマリ」の意味・わかりやすい解説

コデマリ(小手毯)
コデマリ
Spiraea cantoniensis

バラ科の落葉低木で,中国原産。観賞用として古くから日本に伝えられた。全体は高さ1~2mでよく分枝し,枝の先端がやや垂れ下がる傾向がある。春に,新葉の出るのとほぼ同時に前年の葉腋から伸びた枝の先端に,白色の多数の小花をまり状に固めてつける。花のついた状態が小さいまりのようにみえるので小手毬と呼ばれた。個々の花は径 1cm足らずの5弁花で多数のおしべがあり,ユキヤナギに似ている。葉は展開すると長さ2~5cmの楕円形で上半部にわずかに鋸歯があり,葉の裏は白色を帯びている。半日陰の場所によく育つ。

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百科事典マイペディア 「コデマリ」の意味・わかりやすい解説

コデマリ

中国原産のバラ科の落葉低木。高さ1〜1.5m,庭木や切花に使う。枝は根元から多数でて細く,若い時は赤褐色で,先端がやや垂れ下がる。4〜5月,葉とともに,白い5弁花がまりのようにかたまってつく。花は径7〜10mm。さし木や株分けでふやし,強健で土質を選ばず育つ。切花用品種も多い。

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