日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロジオン」の意味・わかりやすい解説
コロジオン
ころじおん
collodion
ピロキシリンともよばれる硝化度の低いニトロセルロース(窒素含有率11~12%)4グラムを、エタノール(エチルアルコール)25ミリリットル、エーテル75ミリリットルの混合液に溶かして100ミリリットルにした溶液をいう。エーテル臭のある粘性の大きい無色透明または淡黄色液体。この液を塗ると、エーテルとアルコールが蒸発して強力な薄膜が残り、水に溶けないじょうぶな透明膜ができる。これをコロジオン膜という。医薬用として用いられる。可燃性で特殊引火物に指定されており、密封して冷所に保管し、火気や衝撃を避ける必要がある。
[谷利陸平]
医薬用
液状包帯として傷ややけどの際などに用いる。皮膚に塗ると、局所をコロジオン膜で器械的に保護するとともに防腐の効力もある。乾燥時の亀裂(きれつ)や剥離(はくり)を防ぐ目的で少量のひまし油(3%)か、さらにカンフル(2%)を加えて弾性コロジオンとして用いることが多く、抜糸時の哆開(しかい)(大きく口を開けること)を防ぐ目的でも使われる。市販品には、同じ目的でセルロイドをアセトンに溶かしたものもある。
[幸保文治]