コンスタンティーヌ(読み)こんすたんてぃーぬ(英語表記)Constantine

翻訳|Constantine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンスタンティーヌ」の意味・わかりやすい解説

コンスタンティーヌ
こんすたんてぃーぬ
Constantine

北アフリカ、アルジェリア北東部の都市。コンスタンティーヌ県の県都。アラビア語ではクサンティーナQacentina。人口46万2187(1998)、71万7646(2008センサス)。地中海岸から約90キロメートル内陸、アトラス山脈中の標高600メートルに位置する。ルメル川の深い峡谷に面し、市街地の直下に切り立つ高さ200メートルの断崖(だんがい)は壮観である。地中海沿岸とアトラス高原および遊牧地域との結節点で、古くから農産物の交易地であった。古代にカルタゴの植民都市が建設されキルタCirtaとよばれた。ローマ時代には311年に戦争で廃墟(はいきょ)となったが、コンスタンティヌス大帝が再建した。市名はこれに由来する。その後近世のオスマン帝国統治下に至るまで、この地方の主要都市として栄えた。ローマ、ビザンティン時代の水道、城壁凱旋(がいせん)門、古いモスクなどが残されている。フランス植民地時代、メディナ(アラブ人市街地)の周辺にヨーロッパ風市街地がつくられた。独立戦争中の1958年フランスのドゴール大統領は、当地で「コンスタンティーヌ計画」として知られるアルジェリア経済再建計画を発表した。1962年の独立後工業化が進み、繊維食品機械セメント皮革などの工業が立地し、総合大学も設置された。近年周辺農村からの人口流入が続き、住宅不足が深刻である。アルジェとチュニジアチュニスを結ぶ鉄道道路の結節点であり、国際空港もある。

[藤井宏志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンスタンティーヌ」の意味・わかりやすい解説

コンスタンティーヌ
Constantine

アラビア語でクサンティナ Qusantina,同通称ブラドエルハワ Blad El-Hawa。アルジェリア北東部の行政,商業の中心都市。同名県の県都。アナバ南西約 110kmに位置する。内陸交通の要衝で,南西側以外を深い峡谷で囲まれ,ダイヤモンドの形をした高さ 650mの岩の上に立地した天然の要害。古来フェニキア語で都市を意味するキルタ Cirtaという名で知られ,前3世紀頃にはヌミディアで最も重要な都市の一つとなり,前2世紀に黄金時代を迎えた。カエサルの時代にローマの植民地となったが,のちに破壊され,4世紀初めにコンスタンチヌス1世によって再建された。バンダル人は撃退したが,7世紀にアラブ人に征服され,16世紀以来トルコの統治下で東アルジェリアの行政中心地となった。 1837年フランス領となり,第2次世界大戦中の 1942~43年には連合軍の北アフリカ戦線の総司令部がおかれた。穀物と畜産物の集散地。古来,皮革と毛織物の製造が行われ,近年は滝の水力発電を利用して食品,機械,繊維工業が行われる。 61年コンスタンティーヌ大学が設立された。カスバがあり,またモスクなどの古い建造物が多い。人口 44万 842 (1987推計) 。

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