余韻(読み)ヨイン

デジタル大辞泉 「余韻」の意味・読み・例文・類語

よ‐いん〔‐ヰン〕【余韻/余×韵】

音の鳴り終わったのちに、かすかに残る響き。また、音が消えたのちも、なお耳に残る響き。余音。「鐘の音の―が耳もとを去らない」
事が終わったあとも残る風情や味わい。「感動の―にひたる」
詩文などで言葉に表されていない趣。余情。「―のある作品」
[類語](1反響残響/(3おもむき風情気韻風韻幽玄気分興味内容興趣情趣情調情緒風趣風格余情詩情詩的味わい滋味醍醐味だいごみ妙味雅味物の哀れポエジーポエティックポエトリーロマンチックメルヘンチックリリカルセンチメンタルファンタジックファンタスティック幻想的夢幻的神秘的ドリーミー感傷的

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精選版 日本国語大辞典 「余韻」の意味・読み・例文・類語

よ‐いん‥ヰン【余韻・余韵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 音のあとにかすかに残って続くひびき。また、音が消えたあと、耳に残っているかすかな音。余音。
    1. [初出の実例]「誰吹長笛春景、余韻遏雲流碧天」(出典:藤原為景朝臣詩集(1652頃)和春夜聴雨)
    2. 「琴の糸断えて余韵(ヨヰン)のある如く」(出典:風流仏(1889)〈幸田露伴〉九)
  3. 事が終わったあとになお残る風情や、詩文などの言外の趣にたとえていう。
    1. [初出の実例]「なの字は日本(やまと)助語にして、漢には那の字を用る也。是を詠嘆の余韻といへば、那兮(なあ)と詞を詠べし」(出典:俳諧・古学截断字論(1834)上)
    2. [その他の文献]〔欧陽脩‐峴山亭記〕
  4. ( ━する ) ある性質、傾向などが他に影響を及ぼすこと。
    1. [初出の実例]「この一篇が、彼の全作品に、最後まで余韻して行くことに注目しなければならぬ」(出典:島崎藤村論(1953)〈亀井勝一郎〉漂泊のしらべ)

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普及版 字通 「余韻」の読み・字形・画数・意味

【余韻】よいん(ゐん)

後までも残る趣。宋・欧陽脩〔山亭記〕風の餘然(あいぜん)として江に被(かうむ)るに至りては、今に至るまで人ほ之れを思ふ。

字通「余」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の余韻の言及

【梵鐘】より

…これらはいっそう伝説の信憑性を高める要因となったであろう。【戸塚 ひろみ】
【鐘の音】
 鐘(梵鐘)を鳴らすには側面にある撞座を撞木で真横から打つが,撞木が鐘に当たったときいろいろの振動数の音が混った雑音性の音が瞬間生じ,その後はとびとびの振動数をもつ数個の音(部分音と呼ぶ)が残って余韻になる。この余韻も主として振動数が多い音から次々と減衰し,最後にいちばん振動数が少ない音(基本音)が残る。…

【余情】より

…言語表現などにおのずからなごりとしてただよう芸術的香気や情趣。〈余韻〉などともいう。すでに中国詩論に用例を見るが,日本でも,〈其情有余〉(《古今集》真名序),〈詞標一片,義籠万端〉(壬生忠岑《和歌体十種》余情体),〈あまりの心さへあるなり〉(藤原公任《和歌九品》上品上)など,歌体の一つまたは最高の歌の条件とされ,歌論などで重視されている。…

※「余韻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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