大学などの教育機関が主導して、産業界や社会と連携して進められる就業体験・学習往来型教育。コープ教育、CO-OP教育、産学連携教育ともいう。英語名称の直訳は協同教育で、「実践的な産学協働教育」とも訳される。従来の一般的なインターンシップは短期で無報酬を原則としているが、コーオプ教育はその発展型で、社会や企業など学外での就業体験を教育課程に組み込まれたものとして履修でき、単位として認定される。学外での就業は中長期にわたり、報酬が支払われることを原則としている。社会や企業から教育への理解や協力が得られなければできないことであり、それが協同とよばれる理由である。就職協定協議会特別委員会が1997年(平成9)にまとめた「米国における就職・採用事情調査報告書」によると、コーオプ教育とは、特定の専門職の分野と関連づけられている専攻分野で、すでに単位取得などに相当する準備をした学生に対し、カリキュラムの仕上げとして実施される1回限りの仕事やサービスの体験、と定義されている。一方、同報告書においては、一般的なインターンシップについては、在学中の学生を対象とした学問やキャリアへの関心と関連深い仕事に就ける制度化されたプログラムとして区別している。
コーオプ教育は、アメリカのシンシナティ大学で1906年に設けられたカリキュラムから始まったとされ、その後、アメリカの大学では工学部などの学外実習メニューとして広く定着した。1968年のアメリカ高等教育法改正で、コーオプ教育を実施する大学に対し、連邦政府から補助金が支給されることになり、一気に普及した。今日ではアメリカのおよそ9割の高等教育機関で導入されている。
日本ではアメリカやヨーロッパで実施されている単位認定型インターンシップ制度を参考に、1990年代からコーオプ教育への取り組みが進められてきた。立命館大学では2004年度(平成16)から、企業や団体などが学生に対して現実に抱えている問題を提示し、学生がその問題の解決にあたるという、課題解決型コーオプ教育が実施されている。他の大学においても、長期職場体験を有給で実施するプログラムを導入する理工系学部などが増えている。
[編集部]
3~6ヵ月程度にわたり,大学での勉学と職場での労働を繰り返す教育手法をいう。全米コーオプ教育委員会(The National Commission for Cooperative Education: NCCE)では「大学・カレッジにおけるコーオプ教育は,学生のアカデミックなまた職業的な目標に関連する専門領域内で,教室での学習と生産的な就業体験を統合したアカデミックなプログラム」と定義されており,教育課程に位置づけられているのが大きな特徴である。コーオプ教育は1906年にアメリカのシンシナティ大学(アメリカ)(University of Cincinnati)工学部において実施されたのが最初と言われ,その後1909年にノースイースタン大学(Northeastern University)で実施され,全米の多くの大学に広がった。近年では,全米で約25万人の学生が約9万7000の企業等でさまざまなタイプのコーオプ教育を経験している。日本ではインターンシップという用語で呼ばれることも多い。
著者: 亀野淳
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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