日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴイシツバメシジミ」の意味・わかりやすい解説
ゴイシツバメシジミ
ごいしつばめしじみ / 碁石燕小灰蝶
[学] Shijimia moorei
昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。日本では九州(熊本、宮崎の両県)と紀伊半島(奈良県)に産地が知られているのみ。近年になって日本に生息することが判明したもので、1975年(昭和50)には国の天然記念物に指定され、その採取は禁止されている。外国では台湾、中国東部、アッサムに分布する。はねの開張は19~24ミリメートル程度。はねの表面は黒褐色、裏面の地色は灰白色ないし灰色で碁石状の黒色斑点(はんてん)がある。本種の生息地は照葉樹林の原生林で、老木の樹幹や枝に着生植物がびっしりとつき、そのなかにシシンラン(イワタバコ科)が生えるところである。年1回の発生(7月)。部分的な第2化が8月にみられることもある。卵はシシンランのつぼみに産み付けられ、幼虫はつぼみに食い入って子房を食べるが、成長すれば花全体を食べる。越冬態は老熟幼虫である。
[白水 隆]