改訂新版 世界大百科事典 「ゴドイ」の意味・わかりやすい解説
ゴドイ
Manuel de Godoy y Álvarez de Faria
生没年:1767-1851
スペインの政治家。カルロス4世と妃マリア・ルイサの寵愛を受けて,バダホスの小貴族出身の近衛将校から異例の昇進をとげ,1792年には宰相。翌年フランスと交戦するが敗れ,95年バーゼル条約で和平を結び,〈平和公〉と呼ばれた。以後,フランスに接近し,1801年イギリスと戦火を交えるが,05年のトラファルガーの海戦で大敗し,スペイン艦隊は全滅した。07年,ゴドイは見返りを期待して,ポルトガル征服をねらうナポレオンとフォンテンブロー条約を結ぶが,イベリア半島へのフランス軍の侵入を許したこの政策は,逆に国民の反発を招き,翌年3月皇太子の率いるアランフエス暴動で失脚,亡命した。ゴドイは,国民の窮乏や専制政治に対する不満を理解せず,保身に追われ,結局,ナポレオンの野心に翻弄されたのである。
執筆者:宮川 智恵子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報