日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラサーテ」の意味・わかりやすい解説
サラサーテ
さらさーて
Pablo (Martín Méliton) de Sarasate
(1844―1908)
スペインの作曲家、バイオリン奏者。パンプロナ生まれ。神童として早くから知られ、12歳でパリ音楽院に入学、卒業後はヨーロッパから南北アメリカにまで演奏旅行をし、パガニーニ以来の巨匠として名声を誇った。美しい音色と超人的な技巧が結び付いた演奏は、同時代の作曲家にも強い衝撃を与え、ラロの『スペイン交響曲』、ブルッフの協奏曲第2番、サン・サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーゾ』などが彼に捧(ささ)げられた。サラサーテは『チゴイネルワイゼン』(1878)の作曲家として有名であるが、作品はスペインの民謡や舞曲(マラゲーニャ、ハバネラ、ナバラのホタ、サパテアードなど)、あるいはスペインの歌劇の旋律を用いたものが多い。代表作に『スペイン舞曲』(1878~82)、『カルメン幻想曲』(1883)などがある。
[関根敏子]