サリチル酸中毒(読み)サリチルさんちゅうどく(英語表記)salicylic acid poisoning

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリチル酸中毒」の意味・わかりやすい解説

サリチル酸中毒
サリチルさんちゅうどく
salicylic acid poisoning

サリチル酸は,およそ 10~30gで成人が中毒し,30~40gで致死的に働く。ただし,この量には個人差がある。一般の人がサリチル酸を服用するのは,アスピリンなどの解熱鎮痛剤に含まれている場合だけである。軽症の中毒では,吐き気嘔吐胃痛,食欲不振などの胃腸症状が現れるので,投与するときには,同量の重曹とともに与えるのがよい。重症の中毒では,呼吸困難,発汗,不穏,錯乱,昏迷のほか,脱水症,発熱出血,腎臓障害も起る。特異体質では,ごく少量の投与でも皮疹アナフィラキシー症状を呈する。治療は,経口摂取に対しては胃洗浄を行なって,その後に下剤を与える。重症例には制酸剤,ビタミンKの投与,補液を行う。

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