無韻詩(読み)むいんし(英語表記)blank verse

翻訳|blank verse

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

無韻詩
むいんし
blank verse

に縛られない弱強五歩格 iambic pentameterの韻文。各行の終りに文末のくる,いわゆる end-stopped lineを必要とせず,「句またがり」 run-on lineとなることが多い。持続的なを書く場合に有効で,詩劇,物語詩,瞑想詩などに用いられる。イギリスではルネサンス期の宮廷詩人サリー伯が最初に用い,続いてマーローシェークスピアミルトンらによってみごとに駆使され偉大な作品を生んだ。 18世紀には二行連句に圧倒されたが,19世紀にはワーズワスらによって復活した。現代詩では,T.S.エリオットにみられるように,つかず離れずこれを利用する試みがなされている。

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デジタル大辞泉の解説

むいん‐し〔ムヰン‐〕【無韻詩】

blank verse》1行のうちに弱強のリズムが5回繰り返され、韻を踏まない詩形。16世紀に英国でおこった。シェークスピアの詩劇やミルトンの「失楽園」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

無韻詩
むいんし
blank verse

ことば自体の意味は韻を踏まない詩ということにすぎないが、ブランク・バースはイギリスの詩や劇にもっとも広く用いられる詩形をいう。五脚弱強調、つまり1行のうちに弱強のリズムが5回繰り返されるというものであり、次にシェークスピアの作品から例をあげる。

 But sóft, what lght through yónder wndow bréaks ?
 It s the éast and Júliet s the sún.
 (だが、待て、なんの光だ、あちらの窓から漏れてくるのは?
 あちらは東、そしてジュリエットは太陽だ。)
 (『Romeo and JulietⅡ. ii. 2―3』sの「´」は強勢を示す)
 16世紀中葉、詩人サリー伯がウェルギリウスの『アエネイス』を訳すのに用い、またサックビルThomas Sackville(1536―1608)とノートンThomas Norton(1532―1584)合作の戯曲『ゴーボダック』Gorboduc(1561初演、1565刊)がこの詩形で書かれたころから一般的になり、マーローの雄弁な台詞(せりふ)を経てシェークスピアで頂点に達した。その後もミドルトンやジョン・ウェブスターらの劇、ミルトンの『失楽園』、さらには19世紀の詩人テニソン、ワーズワース、R・ブラウニング、20世紀のT・S・エリオットらに受け継がれている。

[村上淑郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

むいん‐し ムヰン‥【無韻詩】

〘名〙 (blank verse の訳語) 一六世紀前半、イギリスの詩人サリーによって初めて用いられた詩の形式の一つ。特に叙事詩で五脚の韻をふまないもの。シェークスピアの詩劇やミルトンの「失楽園」などでこの形式が完成された。
※冷笑(1909‐10)〈永井荷風〉一三「ロンサアルの詩よりも現代人の自由詩無韻詩を喜んだ」

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