翻訳|blank verse
ことば自体の意味は韻を踏まない詩ということにすぎないが、ブランク・バースはイギリスの詩や劇にもっとも広く用いられる詩形をいう。五脚弱強調、つまり1行のうちに弱強のリズムが5回繰り返されるというものであり、次にシェークスピアの作品から例をあげる。
But sóft, what lght through yónder w
ndow bréaks ?
It s the éast and Júliet
s the sún.
(だが、待て、なんの光だ、あちらの窓から漏れてくるのは?
あちらは東、そしてジュリエットは太陽だ。)
(『Romeo and JulietⅡ. ii. 2―3』sの「´」は強勢を示す)
16世紀中葉、詩人サリー伯がウェルギリウスの『アエネイス』を訳すのに用い、またサックビルThomas Sackville(1536―1608)とノートンThomas Norton(1532―1584)合作の戯曲『ゴーボダック』Gorboduc(1561初演、1565刊)がこの詩形で書かれたころから一般的になり、マーローの雄弁な台詞(せりふ)を経てシェークスピアで頂点に達した。その後もミドルトンやジョン・ウェブスターらの劇、ミルトンの『失楽園』、さらには19世紀の詩人テニソン、ワーズワース、R・ブラウニング、20世紀のT・S・エリオットらに受け継がれている。
[村上淑郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報