サンゴジュ(読み)さんごじゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンゴジュ」の意味・わかりやすい解説

サンゴジュ
さんごじゅ / 珊瑚樹
[学] Viburnum odoratissimum Ker Gawl.

スイカズラ科(APG分類:ガマズミ科)の常緑高木。高さ10メートルに達する。葉は長楕円(ちょうだえん)形、質は厚く表面に光沢がある。6月、多数の花を円錐(えんすい)花序につける。花冠は白く、短い筒があり、5裂する。子房下位で1室。果実球形で初め赤く、のちに黒くなり、核には1本の深い溝がある。千葉県以西の本州海岸から沖縄、および朝鮮半島南部、中国南部、インドシナ半島、フィリピンなどに分布する。よく分枝し刈り込みに耐えるので、古くから生け垣として利用され、海岸では防風林とする。アワブキ別名があるように材に水分が多く、燃えると泡を吹き、葉は炎を出さないので防火樹ともする。挿木でよく殖える。名は果実が赤く熟し、サンゴのようにみえることからついた。

[福岡誠行 2021年12月14日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンゴジュ」の意味・わかりやすい解説

サンゴジュ(珊瑚樹)
サンゴジュ
Viburnum awabuki

スイカズラ科の常緑小高木で,高さ6~9mに達する。アジアの暖温帯から亜熱帯にかけて広い分布をもつ。日本では暖かい地方の海岸に自生するが,庭木生垣として広く栽植され,水分が多いので防火性があるといわれる。葉は長さ 10~20cmの長楕円形で質は厚く,上面に光沢がある。初夏,枝先に円錐花序を出して多数の白色の小花をつける。果実は赤く熟し,赤い穂が垂れて美しいのをサンゴに見立てたものである。材は木理が細かいのでろくろ細工などに用いられる。

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