この語より古い例に「せきだ」があり、「席駄」と当てた例も多い。「むしろ(席)のはきもの(駄)」の意の「席駄」から「せちだ」「せっだ」「せった」と変化し、のちに「雪駄」と当てられたものと思われる。「雪駄」に「せきだ」のよみをつけた例もある。
雪踏とも書く。竹皮草履の裏に獣皮を張り,踵(かかと)に鉄片を打ったはきもの。千利休が雪のさいの露地用に考案したと伝えられるが,これは俗説で,平安時代に貴族,武家の社会で用いられた,台の裏に獣皮をつけた尻切(しきれ)から発達したものである。江戸時代の《毛吹草》(1638)に,竹皮草履の雪踏が摂津国の産物としてあげられている。セチベン(けちくさい)者が竹皮草履を用いたことから,セチダと呼び,好事の人が雪踏,雪駄の文字を当てた。初め上方でつくられ,江戸へ半製品を送ったので五分下り雪駄といった。貞享年間(1684-88)ごろから裏に革を張った雪駄が出現した。また,踵に尻鉄(しりがね)を打つようになったが,これは近江国大津の革足袋屋が創作したもので,強いことから石割り雪踏といった。《嬉遊笑覧》に石割せきだ,大津せきだとあるので,関西ではセキダ(席駄)といったことがわかる。今日でも関西ではセキダと呼び,関東ではセッタというが,いずれもセチダの訛(なま)りである。熊の毛皮を張った毛雪駄,裏革を3枚張ったカピタン雪駄などもあった。
執筆者:潮田 鉄雄
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履き物の一種。草履(ぞうり)の裏に革を張ったもので、地方によっては、普段履いている草履をさす所もある。その特色は、草履の底に革が張ってあるため、湿っている所を歩いても湿気が通らぬこと、あわせて底が傷まないので喜ばれた。裏打ちの革としてはウシ、ウマ、イノシシ、シカなどの獣皮を用いた。雪駄の考案者は、茶人の千利休(せんのりきゅう)といわれているが、さだかではない。江戸時代初期には、摂津国や山城(やましろ)国の名産とされた。また江戸では江戸製のものを地雪駄、これに対して上方(かみがた)製のものを下り雪駄といった。
雪駄も、年代がたつにつれて、革の減るのを防ぐために、尻鉄(しりかね)を打ち付けるようになり、歩くとチャラチャラ音をたて、これを楽しむ風が江戸っ子の趣向にあい、鋲(びょう)打ちの雪駄が流行した。そればかりか、毛雪駄、吉原(よしわら)遊びの吉原雪駄、あるいは粋(いき)向きの丹前(たんぜん)雪駄なども現れた。また大名の奥方や御殿女中の間では、表に緞子(どんす)の布地を使った乗物雪駄、あるいは僧侶(そうりょ)や医師の間ではカピタン雪駄が用いられた。カピタン雪駄は、表を革で三枚張りにして黒塗りあるいは溜(ため)塗りにしたもので、古くなると塗りがはげる欠点があった。
[遠藤 武]
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