日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンポウカン」の意味・わかりやすい解説
サンポウカン
さんぽうかん / 三宝柑
[学] Citrus sulcata Takahashi
ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑中高木。皮はむきやすく、瓤嚢(じょうのう)(袋)は12個内外、種子数は約30個。果肉は多汁で甘味と酸味が調和し、香気がある。果柄部が突き出ているため、その形からツボカン(壺柑)、ダルマカン(達磨柑)、ホゾダカカン(臍高柑)などの別名がある。和歌山県の原産。江戸時代、和歌山城内にあった木の実を三方(さんぼう)にのせて紀州侯に献上したことから、この名が出たという。当時は門外不出であったが、明治になって、現在の和歌山県有田郡有田川町に大江城平(おおえじょうへい)が導入し、栽培が一般化された。以後、同郡および海草(かいそう)郡に普及し特産となった。
[飯塚宗夫 2020年10月16日]