シアン化銀(読み)しあんかぎん(英語表記)silver cyanide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアン化銀」の意味・わかりやすい解説

シアン化銀
しあんかぎん
silver cyanide

銀のシアン化物硝酸銀水溶液シアン化カリウム水溶液を加え、生じた沈殿を水で洗って乾燥させると得られる白色粉末。光によって徐々に変色して分解する。空気を断って熱すると分解し、320℃以上でシアンを発生する。エタノールエチルアルコール)、希酸に不溶。熱濃硝酸には溶けて硝酸銀との複塩をつくる。濃アンモニア水チオ硫酸ナトリウムには溶ける。シアン化アルカリにはシアノ錯塩をつくって溶ける。有毒である。

[中原勝儼]


シアン化銀(データノート)
しあんかぎんでーたのーと

シアン化銀
  AgCN
 式量  133.8
 融点  325℃
 沸点  ―
 比重  3.95
 結晶系 六方
 溶解度 0.22mg/100ml(水20℃)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シアン化銀」の意味・わかりやすい解説

シアン化銀
シアンかぎん
silver cyanide

化学式 AgCN 。無色の粉末。乾燥空気中で安定であるが,光に当ると暗色に変る。 320℃で分解。水,アルコール,希酸にほとんど不溶。シアン化アルカリ溶液や熱濃硝酸には錯塩をつくって溶ける。希塩酸によって有毒なシアン化水素塩化銀に分解。銀メッキや,塩酸処理による簡便なシアン化水素発生剤として利用される。

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